質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一三九号

放課後児童クラブに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月五日

矢田 わか子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   放課後児童クラブに関する質問主意書

 児童福祉法第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)は共働き世帯の増加に伴い、また新型コロナウイルス感染症対策のための学校一斉休業に伴う児童の居場所として、事業の必要性が一段と高まっている。子どもが安心して過ごし、また保護者も安心して子どもを預けられるよう、放課後児童クラブの量的拡充と質の改善が求められる。そこで、以下、質問する。

一 政府は「新・放課後子ども総合プラン」にて、放課後児童クラブを令和三年度末までに約二十五万人分を整備し、待機児童解消を目指すとしているが、現在の達成状況と今後の見通しを明らかにされたい。また、児童福祉法改正により平成二十七年度から利用児童は「小学校に就学している児童」となり六年生まで利用可能となった。しかし地域によっては低学年が優先され、高学年になると施設を退所せざるを得ない状況も報告されている。学年にかかわらず希望するすべての児童が利用できるよう、法改正の趣旨を再度徹底すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 厚生労働省による調査「令和元年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によると、放課後児童クラブの平日の終了時刻は十八時半前が五割弱(四十三・二%)を占め、また長期休暇等の開所時刻は八時以降が約七割(六十八・五%)に上る。保育園と比べ預け時間が短くなっていることにより、子の小学校就学後に仕事と育児の両立が困難になるケースもある。また、学校の長期休暇中については開所時刻を早めてほしいとの保護者の要望も多く見られる。このことから、放課後児童クラブの終了時刻、開所時刻については、保護者の就労状況等を踏まえて運営している保育所と同等程度にすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 学童保育の支援の単位は、厚生労働省が設けた基準では「一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね四十人以下とする」(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準第十条第四項・参酌基準)としている。これは「子どもが相互に関係性を構築したり、一つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模」として定められたものである。しかし、全国学童保育連絡協議会の「二〇一九年調査」によると、施設(支援の単位数)の三十八%が四十一人以上となっており、十分なスペースが確保できず活動を制限せざるを得ない施設もある。児童の安全確保および生活の場を保障するため、支援の単位を、自治体に委ねるのではなく全国一律の水準とし、同基準の遵守を徹底する必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 放課後児童支援員の処遇について、勤続年数や研修実績等に応じて月一万円から三万円の賃金改善に要する費用を補助する「キャリアアップ処遇改善事業」が平成二十九年度から実施されているが、それでも支援員の処遇は依然として他職種に比べて低位の状況にある。一方、政府は人材確保が困難なことを理由に、令和二年四月から職員の資格と配置基準を「参酌化」としたが、子どもが安心して過ごすためには、施設で働く職員が専門性を高め、やりがいを持ち働き続けられる環境整備が欠かせない。まず行うべきことは、職員の資格取得支援と処遇改善を行うことによって人材を確保することと考えるが、政府のさらなる処遇改善に向けた具体的な施策を明らかにされたい。

五 令和元年五月三十日、参議院内閣委員会で可決された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議」の第二項は、「放課後児童健全育成事業の見直しに関する検討を行うに当たっては、市町村、同事業の従事者、保護者等の意見を幅広く聴取するとともに、市町村による条例の改正状況や同事業の運営状況等に関する実態調査を継続的に実施すること。」としているが、この実態調査に関する政府の取り組み状況を明らかにされたい。

  右質問する。