質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇五号

精神・発達障害者の雇用打ち切り対策や心のケアに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年四月二十日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   精神・発達障害者の雇用打ち切り対策や心のケアに関する質問主意書

 精神・発達障害者は、契約社員、パートタイマーなど非正規で働く人が多い。厚生労働省が実施した平成三十年度障害者雇用実態調査(以下「実態調査」という。)では、精神障害者で無期契約の正社員は二十五・〇%、発達障害者で無期契約の正社員は二十一・七%であり、換言すれば、精神障害者・発達障害者の七割以上が、不安定な立場で働いている。
 今回の新型コロナウイルスの影響により、精神・発達障害者は派遣や有期雇用の打ち切りの対象になりやすいと考えられる。全国民に一律十万円支給という政策は評価できるものの、それは精神・発達障害者にとっては一時しのぎにとどまる可能性が高い。現に、実態調査における平成三十年五月の平均賃金を見ると、精神障害者は十二万五千円、発達障害者は十二万七千円であり、失業した際の当面の生活を乗り切る貯蓄があるとは言えないのではないか。やはり、継続的な生活保障のためにも雇用の確保は必要であると考えている。
 また、雇用の問題だけでなく、家庭内におけるストレスの増加も今後十分に考えられる。海外では、新型コロナウイルス対策のために実施した外出自粛措置の際にDVが増えるなどの問題が生じている。十分な福祉サービスが受けられず、家庭にいる時間が多くなるため、精神・発達障害者の中には家庭での虐待などを経験するケースが増える可能性があり、そうした家庭に対する支援も必要であると考えている。
 障害者自立支援法の「障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する」という目的の実現も鑑み、右を踏まえて、以下質問する。なお、新型コロナウイルス感染症については、現時点で収束するかどうかわからない状況であり、治療薬やワクチンの開発が完了していない状況であることから、政府として非常に難しい立場であることは理解しているつもりである。

一 今回の新型コロナウイルスの影響で職を失ってしまった発達障害者への雇用面での対策は何か考えられているか。既に対策が講じられているのであれば現状報告もお願いしたい。

二 今回の新型コロナウイルスの影響で、外出できず、十分に福祉サービスも受けられない精神・発達障害者本人や家族の心のケアについての対策は何か考えられているか。既に対策が講じられているのであれば現状報告もお願いしたい。

三 精神・発達障害者に理解のある職場は、厚生労働省をはじめとする政府の様々な施策によって増加傾向にあるとはいえ、なお十分な数があるとは言い難い。この貴重な職場が現下の新型コロナウイルス感染症に伴う事業環境の影響によってなくなってしまえば、精神・発達障害者の社会参加の場が失われてしまう。以上の現状に鑑み、雇用調整助成金について、精神・発達障害者についてはその助成率を十分の十としてはどうか。
 なお、本質問主意書は精神・発達障害者が置かれている状況に鑑み、通常通り七日以内での答弁を求めるが、答弁書の文字がいわゆる青枠の五ミリ以内に収まっていなくても構わない。もし、答弁書の文字がいわゆる青枠の五ミリ以内に収まっていなくてはならないと政府が考えるならば、その作業は厚生労働省の官僚や、厚生労働省から内閣府に出向している官僚以外の者が行うなど、出来うる限り新型コロナウイルス感染症対策を行っている官僚の負担にならないよう答弁願う。

  右質問する。