質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第八九号

北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年四月二日

有田 芳生


       参議院議長 山東 昭子 殿



   北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者に関する再質問主意書

 私が令和二年三月二日付けで提出した「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者に関する質問主意書」(第二百一回国会質問第六五号。以下「前質問主意書」とする)に対する答弁書(内閣参質二〇一第六五号。以下「前答弁書」とする)に関連して再質問を行います。

一 前質問主意書の二において「行方不明者の捜査・調査を所管している部署はどこになりますか」とお訊ねしたところ、納得のいく答弁は得られませんでした。しかし、私が平成二十五年一月二十八日付けで提出した「警察庁が開示した行政文書に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第三号。以下「質問第三号」とする)で指摘したように、平成二十四年十二月六日付けで警察庁により開示された行政文書「都道府県別捜査・調査対象者数 平成二十四年十一月一日現在」では、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者として八百六十八名を挙げ、そのうち八百六十七名が警察庁警備局外事情報部外事課、残り一名が国際テロリズム対策課で所管していることが明らかとなっています。重ねてお訊ねしますが、令和二年三月一日現在で八百七十八名の行方不明者を、警察庁警備局外事情報部外事課で何名、国際テロリズム対策課で何名、その他の部署で何名と、所管している部署と担当する行方不明者の人数を男女別で具体的にお示しください。

二 前質問主意書の五において行方不明者の家族に対する警察当局からの情報提供についてお訊ねしたところ、前答弁書の五の前段において、政府は「親族等に対し、捜査・調査に支障のない範囲で、その状況を説明しているものと承知している」と答弁しています。私は、質問第三号の九においても同様の質問をしていますが、そのときの政府の答弁も前答弁書と同様の「各都道府県警察において、行方不明者の親族等に対し、捜査・調査に支障のない範囲で、その状況を説明しているものと承知している」というものです。質問第三号を提出してからすでに七年が経過しましたが、政府の答弁は同じ内容です。そこでお訊ねしますが、政府はこれまでに北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の親族等から、都道府県警察による状況説明が納得のいく内容であるかについて聞き取り調査等を行った実績はあるのですか。

三 私が平成二十五年二月十四日付けで提出した「日本国内に在住する拉致実行犯に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第二九号。以下「質問第二十九号」とする)の中で、よど号ハイジャック犯岡本武と北朝鮮で結婚した福留貴美子氏について政府の見解を質したところ、「福留貴美子氏に係る事案については、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていない」と答弁しています。そこでお訊ねしますが、現在、福留貴美子氏の事案を担当しているのは外務省国際テロリズム対策課ですか。また、これまでの捜査・調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていないのはどうしてですか。

四 政府は、前答弁書の五の中段及び後段の中で、本人以外の者による個人情報の開示の請求については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第十二条第二項において、未成年者又は成年被後見人の法定代理人が本人に代わってこれをすることができることのみが規定されている旨答弁しています。そこでお訊ねしますが、全国に点在する北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の親族等が同項の適用を受けるにはどのような手続きが必要なのか、順序だてて分かりやすくお示しください。

五 政府は、質問第三号に対する答弁書の七及び八において、「認定の在り方については、不断の検討が必要であると認識している」と見解を示しました。それからすでに七年が経過していますが、政府のいう「不断の検討」の結果が国民には一向に明らかにされていません。そこでお訊ねしますが、政府のいう「不断の検討」とは、国民を欺き国民の知る権利を阻害するための方便ではないのですか。七年以上も不断の検討を重ねても何の成果も国民に示すことができないのは主権者たる国民に対する背信行為ではないですか。政府の認定の在り方に対する方針を改めてお伺いいたします。

  右質問する。