質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第七九号

諸外国における水道分野へのコンセッション事業の導入等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年三月十九日

吉田 忠智


       参議院議長 山東 昭子 殿



   諸外国における水道分野へのコンセッション事業の導入等に関する質問主意書

 令和元年十月三十一日に提出した「諸外国における水道分野へのコンセッション事業の導入等に関する質問主意書」(第二百回国会質問第四九号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁(内閣参質二〇〇第四九号。以下「前回答弁書」という。)について、以下改めて質問する。
 前回答弁書では、海外の水道事業の民間活用の状況について、「令和元年九月三十日に厚生労働省が公表した「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」に示しているとおりである」とされていたが、「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」(以下「同手引き」という。)では、「世界の再公営化の動向」について、データなどはほとんど明らかになっておらず、私の質問に答えていない。
 前回質問主意書において指摘した水道事業の「再公営化」については、衆参の厚生労働委員会でも再三質疑が行われ、大きな論点となっていた。政府は、質疑に対しいくつか答弁していたが、フランスをはじめとした外国の水道事業における「民営化」と、これに逆行する「再公営化」についての情報がまだ十分でないため、今後、さらに調査を進め実態を把握する旨答弁している。
 しかしながら、同手引きでは、水道事業の「再公営化」についての調査が、前述したとおり曖昧な記述となっている。
 特に、同手引きの第V編(特にV―91~V―102)では、内容が並列的、表面的であり、「再公営化」の実態が明確となっていない。
 同手引きでは水道事業に関し、フランスでは「百年以上前から民間活用(コンセッション等)が行われており」、パリでは「再公営化」が行われた旨が明記されている。ところが、政策投資銀行地域企画部担当部長の足立慎一郎氏の「フランス・パリ市の水道事業、「再公営化」の真実」によれば、「パリ市が百%出資している商工公社が業務を実施しており、正しくは「公社化」である」、「フランスの多くの自治体では、施設の整備は公共が担当し、維持管理・運営・料金徴収は民間企業が行うアフェルマージュ方式が採用されている」旨述べ、「公社化」であり、「再公営化」ではないと強調している。
 また、EY新日本有限責任監査法人、インフラストラクチャー・アドバイザリーグループのシニアマネージャーの福田健一郎氏の「フランスの上下水道事業の再公営化・コンセッション化の状況について」では、「パリ市をはじめとして、いずれも商工業的公施設法人(EPIC)または自治体百%出資会社(SPL)によるものであり、主要都市の事例を見る限り、再公営化が「自治体の部局における運営」を意味するわけではない」と述べている。
 一方、水道分野での「再公営化」のための集会などを開催し、マスコミに頻繁に登場して、政府が進めるコンセッション方式によるPFI事業について批判している、水ジャーナリストの橋本淳司氏は、二〇一八年九月十四日付「時事オピニオン」で、パリ市は再公営化された以降「料金は一九八五年から二〇〇八年までに百七十四%上がった」、「パリでは民営化時には、営業利益は七%台と報告されていたが、その後二〇一〇年の再公営化で帳簿を調べると、実は十五%から二十%もあったことや、税金も払っていない」と述べている。
 こうした水道事業の「再公営化」についての実態調査及び対立する見解を政府はどのように評価しているのか。あらためて伺いたい。
 なお、日本政策投資銀行の足立慎一郎氏及びEY新日本有限責任監査法人の福田健一郎氏の両者は、政府の進めるコンセッション化に直接的に関係していると承知しているが、如何か。

  右質問する。