質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第五七号

公職の候補者となろうとする者等に対する名誉棄損に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   公職の候補者となろうとする者等に対する名誉棄損に関する質問主意書

 刑法二百三十条に名誉棄損についての規定がある。一方で、刑法二百三十条の二第一項において、公共の利害に関する場合の特例についての規定がある。さらに、刑法二百三十条の二第三項にて「公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」とされている。
 つまり、公人に対する事実に基づいた批判は国民の知る権利にもつながるため、名誉棄損の除外対象となりうる。一方、昭和五十六年四月十六日の最高裁判所第一小法廷判決により、私人であっても社会的に一定の影響力を持つ者に対する批判は事実の公共性の要件を満たす場合があり、公人に準ずるという意味で「準公人」や「みなし公人」と呼ばれることもある(以下「準公人等」という。)。そこで、以下質問する。

一 地方選挙や国政選挙への立候補予定者(いわゆる、立候補の決意を表明し、選挙の公示日又は告示日まで政治活動を行っている者等、公職選挙法に「公職の候補者となろうとする者」と規定されている者をいう。)は刑法二百三十条の二第三項にいう「公選による公務員の候補者」に該当するか。

二 過去、公選による公務員の候補者であったが、選挙に落選した者は刑法二百三十条の二第三項にいう「公選による公務員の候補者」に該当するか。

三 現職の議員のような公務に就いてはいないが、国政政党や政治団体の代表である者は刑法二百三十条の二第三項にいう「公選による公務員の候補者」に該当するか。

四 YouTubeのような新しい発信メディアによって準公人等に対して真実に基づかない批判を繰り返す行為は名誉棄損に該当するのか。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁を求めない。国会法七十五条二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。