質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第五六号

選挙の自由妨害罪による私人逮捕の正当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月二十五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   選挙の自由妨害罪による私人逮捕の正当性に関する質問主意書

 地方選挙であれ国政選挙であれ、公示日又は告示日から選挙期日の前日までの選挙運動期間中は、暴行だけでなく威力についても「選挙の自由妨害罪」として強い罰則(四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金)が定められている。また、公職選挙法二百三十条には「多衆の選挙妨害罪」の記載があり、多衆集合して選挙運動を妨害した場合は、別途、罰則が存在する。
 しかし、選挙運動中に、立候補者が聴衆から演説のマイクを奪われたり、女性運動員が暴漢から腕を殴打されるなど、様々な選挙妨害をする有権者が存在するのが実情である。このような選挙の自由妨害が行われ続けることで安心・安全に選挙に立候補できないことも、我が国において女性議員の割合が先進国で最低水準の百六十五位であることに関与していると考えている。実際に選挙の自由妨害が生じたその瞬間に、警察が近くにいない場合、「現行犯であること」、「犯人が逃走するおそれがあること」といった私人逮捕のための条件を満たせば、刑事訴訟法二百十三条による私人逮捕を行うことができる。もちろん、私人逮捕後の判断は警察や検察、裁判官に委ねられる。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 公職選挙法二百二十五条の選挙の自由妨害罪が成立する行為には、選挙への立候補者が、同じ選挙に立候補している別の立候補者に対して行う選挙妨害も該当するか。

二 公職選挙法二百三十条記載の「多衆」とは、二人や三人でも該当すると解釈してよいか。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁を求めない。国会法七十五条二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。