第201回国会(常会)
質問第五三号 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と新型コロナウイルスに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和二年二月二十一日 牧山 ひろえ
参議院議長 山東 昭子 殿 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と新型コロナウイルスに関する質問主意書 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症が、横浜沖に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客・乗員らに、次々と罹患した件に関し、以下質問する。 一 今回、当該クルーズ船が、外国船籍だったことは、新型コロナウイルス対応に際して、どのような影響を及ぼしたか。仮に日本船籍だった場合と比較し、なるべく具体的に説明されたい。 二 当該クルーズ船の乗客は二月十九日から下船を開始しているが、自宅等への移動について公共交通機関を利用させている。下船者の中にウイルスの保菌者がいないと断定した根拠を示されたい。 三 アメリカや韓国などは、クルーズ船からの下船者を更に十四日間にわたって外部との接触を避けさせる方針とされている。このことに関しては、日本においても同様の意見が強くあった。それにもかかわらず、なぜ実行しなかったのか。新型コロナウイルスの感染経路の原因が解明しないからこそ、より確かな方法を取る責任があったのではないか。 仮に検査の結果、陰性と診断され下船した人の内、一人でも陽性になったら、全ての下船者について、症状のあるなしにかかわらず、再度外部との接触を避けさせる措置を検討する必要があるのではないか。 四 下船開始にあたっても、政府は二月五日の隔離措置後の船内感染の有無を断言出来なかった。船内待機中に陽性と判断された者がどの時期に感染したのか、調べる方法はなかったのか。理論的には調査可能だが、実施が困難だったケース等も含め、説明されたい。 五 検査の結果、陰性と診断された人が、検査後の事後感染で、陽性になった可能性はない、と断定できるのか。 また、船内で支給された飲食物(調理から乗客に提供されるまでの全過程)や船が許可または促した散歩は、船内感染の要因として、想定しなかったのか。また、船内感染の可能性を少しでも下げるように、予防的な措置により力を入れるべきではなかったか。 六 散歩は二メートル間隔での実施が推奨されたが、そもそも厚生労働省が定義する濃厚接触は二メートル間隔であったし、実際には人との間隔を測る人もいなければ、近距離ですれ違う人、散歩中に話し合っていた人もいた。このことに関し、政府はどのような事実認識と評価をしているか。 七 ゾーニングについて不徹底な実施状況が指摘されている。例えば、船の構造上、医務室に向かう発熱者が他の人と同じ通路を使うことがやむを得なかったとしたら、発熱者等には、医療従事者が往診に行く、ということは出来なかったのか。 八 二月三日に厚生労働省が船内の乗客等を対象とした検疫を開始した。それにもかかわらず、二月四日にもバイキング式の食事を提供し続けたり、多くの乗客が一ヶ所に集まる観劇やマージャンなど、近い接触距離で人の交流を促す催しが継続されていた。何故このようなことになったのか、明らかにされたい。 九 船内の感染予防対策の従事者とその指揮系統はどのようになっていたか、明らかにされたい。 十 この度のような悲劇を二度と生じさせないためには、事後の検証が極めて重要である。当該クルーズ船におけるウイルス対策について、時点ごとに判明していた事実、実施した感染防止対策や措置及び時点ごとの感染防止のルール、それらの対応に対する評価など、時系列で、かつなるべく詳細に事実関係を調査し、事後の対策の資料として公開するべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 これらの事実関係の調査を行う場合には、そのスケジュールを示されたい。 十一 政府は、当該クルーズ船における感染防止対策の状況について、一般の国民及び船内の乗客・乗務員に対する情報提供及び情報公開が、適切にかつ十分な情報量にて行われたと評価しているか。 右質問する。 |