質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第四三号

支援すべきヤングケアラーの発見と具体的な支援の方法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月十四日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   支援すべきヤングケアラーの発見と具体的な支援の方法に関する質問主意書

 「ヤングケアラー」は、「家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている、十八歳未満の子ども」を意味する。
 識者によると、この「ヤングケアラー」の増加が指摘されているが、これは、核家族化・ひとり親世帯の増加により、家庭内で誰かが介護が必要になると、子どもに直接その負担が行きやすいという世帯構造の変化を背景としていると想定される。それだけに、今後も家族のケアをする子どもや若者は増えていくと考えられる。

一 ヤングケアラーについては、介護による時間的拘束から様々な支障が生じることが指摘されている。睡眠不足や疲労からくる学業への支障、特に遅刻・早退・欠席は非常に大きな問題で、不登校などに発展する場合も考えられる。また、精神的に不安定になったり、自由時間が少ないために、友達との交流が制約され、孤立するなど、成長していく上での課題が危惧されている。
 このような状況を改善するためには、ヤングケアラーの介護負担の軽減が重要となると考えるが、ヤングケアラーの負担軽減のための措置について現在の状況を説明されたい。

二 ヤングケアラーについては、家庭内の問題で外に出すべきではないという思い込みから、潜在化しているケースが多い。彼らが、福祉や医療、教育現場でサポートをする人々の目に触れ、存在を知られることが第一に必要となる。この「見えないヤングケアラー」、「見えないが支援の必要があるヤングケアラー」をどうやって見つけていくかが課題となる。

1 この課題に対する政府の方針を示されたい。

2 未成年者を取り巻く職種のうち、「支援すべきヤングケアラー」の存在に気付くことが出来るのは、特にどの職種であると考えているのか。

3 教職員は、「支援すべきヤングケアラー」の発見に大きな期待が寄せられるが、家族のプライバシーにかかわる問題であることから、教職員もどこまで踏み込んでいいのか迷うところもある。「支援すべきヤングケアラー」の発見と支援への繋ぎが教職員の任務として期待されるところであることを明確に指針等で示すべきではないか。

三 核家族やひとり親家族が大勢を占める現代においては、頼る人もなく、相談する相手もなく、家族を支えていく責任だけを負わされることが少なくない。「誰かに安心して相談出来ること」、「そのような話せる人に出会える安全な場所を確保すること」が重要になると思われるが、その対策として政府はどのような施策を行っているか。

四 総務省の「平成二十四年就業構造基本調査」によると、介護をしている十五歳から二十九歳の若者は約十七万七千六百人に上る。ただし、これはあくまで推計値であり、また、この推計値には十四歳以下の小中学生は含まれていない。
 ヤングケアラーの支援を検討する上でも、ヤングケアラーの実態についての全国調査を実施すべきではないか。政府の見解を問う。

  右質問する。