質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第四一号

仕事と介護の両立に関しての企業側の条件整備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年二月十三日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   仕事と介護の両立に関しての企業側の条件整備に関する質問主意書

 総務省の「平成二十九年就業構造基本調査」によると、介護をしている被雇用者の九割は雇用形態を問わず介護休業制度を利用していない。
 これらの介護休業制度を利用せずに、仕事と介護の両立を断念して辞職する者も多い。その背景として、仕事との関わり、所属している企業の対応が大きな影響を及ぼしていると考える。

一 厚生労働省の「平成二十四年度 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(以下「当該報告書」という。)によると元正社員の介護離職者が介護休業制度を利用しなかった理由として、「介護休業制度を利用しにくい雰囲気があるため」という回答が十八%となっている。また、日本総合研究所が平成二十九年に実施したアンケートでは、「仕事と介護の両立に必要だと感じること」という問いに対し、「介護する家族に寛容な職場の風土・上司や経営者の意識改革」との回答が五十四・一%に上っている。現状が「介護する家族に寛容」でなく、「上司や経営者の意識改革」が不十分であるため、介護休業の取得率が低いことを示唆している。
 このような職場の空気や暗黙のルールへの対策として、政府はどのようなことを考えているか。

二 長時間労働が恒常化する職場では、早く帰りにくいという暗黙のルールが生じる場合も考え得る。業務効率化を進めて労働時間を短縮しなければ、介護をしている正社員が介護休業制度を利用しにくい雰囲気は変わらないのではと懸念するが、長時間労働と介護休業の取得率との関係に対する政府の認識如何。

三 当該報告書によると、元正社員の介護離職者が介護休業制度を利用しなかった理由として、「自分の仕事を代わってくれる人がいないため」という回答が二十・八%となっている。また、介護している正社員の具体的な不安感として、「自分の仕事を代わってくれる人がいないこと」との回答が四十二・五%にも上っている。
 この点への対応策として、政府はどのようなことを考えているか。

四 前記一及び三のような被雇用者の声は、介護休業制度を利用する前提条件が充たされていないことを示している。

1 介護離職者ゼロを達成するためには介護休業制度の利用促進に向けた企業の協力が重要であり、企業へのインセンティブの設定などを積極的に行うべきと考えるが、政府の見解如何。

2 仕事と介護の両立について、その計画や進捗状況等企業の取り組み状況を「見える化」することは、求職者にとって企業選びの重要な指標となるだけでなく、介護休業制度の利用を促すことにも繋がると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。