質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

カジノ事業に係る廉潔性の確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年一月二十九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   カジノ事業に係る廉潔性の確保に関する質問主意書

 平成三十年七月十九日の参議院内閣委員会における「特定複合観光施設区域整備法案に対する附帯決議」の第十一項では、「政府は、カジノ事業に参入しようとする民間事業者等に対する背面調査の実施に当たっては、関係行政機関との十分な連携を図りつつ、厳格な調査を実施するとともに、カジノ事業者への免許付与後も継続的にモニタリングを実施することにより、反社会的勢力の排除を徹底し、カジノ事業に係る廉潔性の確保に万全を期すこと。」とされている。
 透明性や連結性の確保はカジノを中核とした統合型リゾート(以下「IR」という。)事業の成否に関わる。それにもかかわらず、秋元司衆議院議員が収賄容疑で逮捕されたことに端を発する汚職事件は拡大の様相を見せている。
 秋元議員は、IR担当の元内閣府副大臣及び国土交通副大臣であり、特定複合観光施設区域整備法成立時の衆議院内閣委員長でもあった。秋元議員の逮捕は同法の成立過程の適正性に大きな疑問符が付いたことを意味する。

一 IRの汚職事件を受け、総理は、今国会の代表質問に対する答弁で、行政側とIR事業者の接触を制限する規定を基本方針に盛り込む方針を明らかにし、癒着防止に取り組む考えを示している。
 この点に関し、昨年九月の国土交通省の調査で「区域整備計画の認定申請を行うことを予定し、または検討している」と回答した都道府県または指定都市(以下「候補地域」という。)におけるIR事業者との面談や面会のルールの作成状況は、ルール作成済の自治体が七地域とほとんどを占め、未作成の自治体は一地域のみとなっている。
 それに引き替え、IR事業者との接触規定について、国は現在までのところ特段の規定を設けていない。ルール作成の必要性に気付かなかったのか。それともルール作成を検討したけれども不要と判断したのか、不要と判断した場合、その理由も併せて明らかにされたい。

二 国会内で開かれた「カジノ問題追及本部ヒアリング」で、政府側の担当官は、「カジノ開設後に今回のような汚職の事実が明らかとなった場合、免許の取消もあり得る」旨の発言をしているが、カジノ事業の実施途中での免許取消があり得るということか。

三 国土交通大臣は、公正かつ客観的な審査により区域整備計画を認定(認定区域整備計画の上限数は三)するとされている。
 この認定の際に、候補地域の廉潔性の状況、具体的にはIR事業者との接触規定を始めとする倫理規定の厳格性とその運用状況は、審査の対象となるのか。

四 「区域整備計画の認定」と、候補地域とIR事業者との「実施協定の締結」を経て、「カジノ免許付与」に至るとされている。また、「カジノ管理委員会は、厳格な免許審査(徹底した背面調査等)を行った上で、カジノ免許を付与」するとされている。「徹底した背面調査」が実施協定の締結まで行われないとすると、候補地域がIR事業者と実施協定を結んだ後に失格となることも考えられ、大きな混乱を生む可能性はないか。

五 「厳格な免許審査(徹底した背面調査等)」とは、具体的にどのような審査を行うことを想定しているのか。また、当該審査で、不正や反社会的勢力の介入を見逃すことはないという見通しはあるのか。もしあるのであれば、その根拠を示されたい。

  右質問する。