質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

NHKが行っている外国人差別に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年一月二十九日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   NHKが行っている外国人差別に関する質問主意書

 出入国管理及び難民認定法に基づく在留カードの交付を受けた者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に基づく特別永住者証明書の交付を受けた者のうち、日本人であれば生活保護の支給対象になる経済状況に置かれている者は、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(昭和二十九年五月八日付各都道府県知事あて厚生省社会局長通知。社発第三八二号。)」によって、地方自治体の自主的な判断のもと、地方自治法一条の二や、同法二百三十二条の二により生活保護に準ずる人道的措置が行われている。
 ところで、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送受信料免除基準(以下「基準」という。)によれば、生活保護法に規定する扶助、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律に規定する入所者に対する療養もしくは親族に対する援護、または中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律に規定する支援給付を受けている者が受信機を設置して締結する放送受信契約が放送受信料全額免除の対象であるとされている。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 地方自治法一条の二や、同法二百三十二条の二により生活保護に準ずる措置を受けている外国人(以下「準生活保護措置を受けている外国人」という。)は、生活保護法に規定する扶助を受けているわけではなく、地方自治法二百三十二条の二によって寄付又は補助を受領している立場であるから、放送受信料の免除対象ではない。放送法六十四条二項によって基準を認可する立場にある政府は、このことを認識しているのか。

二 現時点では、準生活保護措置を受けている外国人の放送受信料を協会が免除する行為は放送法百八十五条に抵触すると考えるが、政府の見解如何。

三 生活保護法に規定する扶助を受けている日本人の放送受信料を免除し、準生活保護措置を受けている外国人の放送受信料を免除しないのは、明らかに協会による外国人差別である。準生活保護措置を受けている外国人の放送受信料を協会が免除できるように基準を変更しなければ、協会による外国人差別を政府が認可しているように思われるが、政府の見解如何。また、政府は、昭和五十四年五月二十八日の参議院外務委員会において、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約締結について「生活保護は国民の最低生活を保障するということで、外国人に対しましても全く同じ趣旨で同じ内容で同じ手続で適用しておりますので、実態的な面につきましては、いささかもその待遇につきまして変わるところがないかと思うわけでございます」と答弁している。準生活保護措置を受けている外国人の公共放送の放送受信料が免除されないことは「その待遇につきまして変わるところがない」とは言えないように思うが、政府の見解如何。

  右質問する。