第201回国会(常会)
質問第一七号 ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和二年一月二十四日 那谷屋 正義
参議院議長 山東 昭子 殿 ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する質問主意書 戦後強制抑留者特別措置法が制定されてからまもなく十年を迎える。同法は戦後強制抑留の実態解明を国に課しているが、いまだ解明されていない課題のひとつに、抑留後にソ連の国内法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者の方々の問題がある。特に、処刑された方や刑期中に病死された方に関する情報が乏しく、遺族は割り切れない思いを胸に戦後七十五年を迎えようしている。 この問題について、以下質問する。 一 平成二十二年に戦後強制抑留者特別措置法が制定されてから、政府は抑留後にソ連の国内法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者の方々の問題についてどのような調査を行ったか。調査を行っていない場合、なぜ調査しないのか。 二 一九四五年から一九五六年までに、ソ連においてソ連国内法違反容疑で訴追された日本人は何人か。それらの中で有期刑・死刑に処せられたのは何人か。さらに、その中で何人が日本に帰国できたか。 三 ソ連の法廷において、ソ連国内法ではなく国際法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者はいるか。 四 前記二及び三の訴追された日本人の裁判記録や刑の執行に関する記録を政府はどの程度保有しているか。それらの記録の提供をソ連又はロシア政府に求めたことがあるのか。 五 ソ連国内法違反で有期刑・死刑に処せられた日本人の多くが一九九一年以降に「名誉回復」されている。全体で何人が「名誉回復」を受けたのか政府は承知しているか。政府は、ソ連国内法違反で有期刑・死刑に処せられ、その後「名誉回復」された日本人のリストや記録の提供をソ連又はロシア政府から受けているか。また、リストや記録の提供をソ連又はロシア政府に求めたことがあるのか。 六 ソ連又はロシア政府が「名誉回復証明書」を発行したことは、ソ連又はロシア政府により、ソ連国内法違反で有期刑・死刑に処せられた日本人の「冤罪」とソ連による「人権侵害」を認めたことを意味する。政府として、これらの「冤罪」と「人権侵害」についてソ連又はロシア政府に公式に抗議を行ったか。 七 前記六に関し、「冤罪」と「人権侵害」を認めたソ連又はロシア政府が「名誉回復証明書」を発行した日本人被害者及びその遺族に対して政府はどのような支援を行ってきたか。 八 ソ連国内法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者について、政府として今後積極的に調査に取り組む用意はあるか。また、調査に取り組む場合、政府内のどの部局が担当するのか。 右質問する。 |