質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

米軍によるソレイマニ司令官の殺害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年一月二十三日

熊谷 裕人


       参議院議長 山東 昭子 殿



   米軍によるソレイマニ司令官の殺害に関する質問主意書

 二〇二〇年一月二日、米国防総省はトランプ大統領による指示でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。
 各社の報道によると、米軍はイラクの首都バグダッドでドローンによる空爆により、ソレイマニ司令官の乗っていた車を攻撃し、ソレイマニ司令官は死亡した。イラン革命防衛隊も声明を出し、バグダッドの空港で現地時間の三日午前、米軍による攻撃によりソレイマニ司令官が死亡したと発表した。
 同月三日、トランプ大統領は、ツイッターに「ソレイマニ司令官は多数の米国人殺害をたくらんでいた」と投稿し、殺害を正当化した。米国防総省は声明で、「米軍は大統領の命令で、海外展開する人員を守るために決定的な自衛行動を取った」と表明し、作戦内容の詳細は明かさなかったが、「イランの今後の攻撃計画を抑止することが目的だった」と主張している。
 四日付のニューヨーク・タイムズは「真の問題は、正当化されるかではなく賢明だったかだ」と論じ、トランプ政権の判断を批判する社説を掲載した。同紙は、イラン国民に人気のあるソレイマニ司令官を殺害することで、報復が確実になったと懸念を表明した。「地域の調節つまみを突然、沸騰へとひねる前に、なぜもっと慎重で抑制的な手段を講じなかったのか」とトランプ政権に説明を求めた。
 同月六日、安倍総理は年頭記者会見で、「中東地域が緊迫の度を高めており、現状を深く憂慮しています。事態の更なるエスカレーションは避けるべきであり、全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めます」、「我が国はこの地域にエネルギー資源の多くを依存しています。こうした外交努力と併せて情報収集体制を強化するため、この地域に自衛隊を派遣し、日本関係船舶の航行の安全を確保していきます」と発言している。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 我が国はイランを含む中東地域にエネルギー資源の多くを依存しており、死活的利益があると思料するが、米軍によるソレイマニ司令官への攻撃の前、もしくはその後にアメリカ政府から日本政府に右の攻撃を行う、あるいは攻撃を行った旨の通知はあったのか。

二 米国防総省は「米軍は大統領の命令で、海外展開する人員を守るために決定的な自衛行動を取った」との見解を示している。安倍総理は常々トランプ大統領と百%共にあると発言しているが、米軍によるソレイマニ司令官の殺害について、支持するのか。米軍によるソレイマニ司令官の殺害についての政府の見解如何。

三 前記二に関連し、日本政府のこれまでの外交方針を踏まえると、米国に対し、「事態の更なるエスカレーションは避けるべきであり、全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすこと」を求めるべきであり、ソレイマニ司令官の殺害は「地域の調節つまみを突然、沸騰へとひねる」もので、「もっと慎重で抑制的な手段」を講じるべきだったとアメリカ政府に指摘すべきではないか。政府の見解如何。

四 米軍によるソレイマニ司令官の殺害によっても、「情報収集体制を強化するため、この地域に自衛隊を派遣」することへの影響はない、政府の判断には変更はないという理解でよいか。政府の見解如何。

  右質問する。