質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第一一四号
  令和元年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員伊波洋一君提出日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ七七)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊波洋一君提出日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ七七)に関する質問に対する答弁書

一の1について

 令和元年度の日米共同方面隊指揮所演習(日本)(以下「本演習」という。)について自衛隊が準備を開始した日に係るお尋ねについては、令和元年八月二十九日である。
 本演習に使用した資機材等の撤収が終了する日に係るお尋ねについては、現時点で確たることをお答えすることは困難であるが、当該撤収については、令和二年一月三十一日までには終了する予定である。
 本演習の実施期間中の車両の出入りに係るお尋ねについては、当該期間中のそれぞれの日における車両の出入状況の詳細を逐一把握していなかったため、お答えすることは困難である。
 本演習における米軍の移動手段等に係るお尋ねについては、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

一の2の(1)、(3)及び(4)について

 本演習には、自衛隊の部隊のうち、陸上自衛隊の部隊においては、陸上総隊、北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊、警務隊及び陸上自衛隊中央輸送隊から、海上自衛隊の部隊においては、自衛艦隊から、航空自衛隊の部隊においては、航空総隊及び航空支援集団から、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊においては、自衛隊情報保全隊から、それぞれ参加があったところ、これらの部隊ごとの本演習への実際の参加人数については、現在集計中であり、お答えすることは困難である。なお、これらの部隊以外に、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部、教育訓練研究本部等からも本演習への参加があったところである。
 これらの部隊からの本演習への参加については、令和元年十一月二十八日に陸上幕僚監部監理部総務課広報室が公表した「令和元年度日米共同方面隊指揮所演習(日本)(YS―七七)の概要について」(以下「ニュースリリース」という。)に記載しているとおり、「陸上自衛隊及び米陸上部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における方面隊の指揮幕僚活動を演練して、同活動に係る能力の維持及び向上を図る」ことを目的としたものである。

一の2の(2)について

 本演習においては、着上陸侵攻に対処する場面を設定した指揮所演習も実施したところ、陸上自衛隊の西部方面隊は、その警備区域内に多くの島嶼部を有しているため、当該指揮所演習により同方面隊の対処能力の向上に資すると考えられたことから、本演習に参加したところである。
 同方面隊の隷下の部隊のうち、本演習に参加したものとしては、西部方面総監部、第四師団、第八師団、第十五旅団、西部方面特科隊、第二高射特科団、第五施設団、西部方面混成団等が挙げられるところ、本演習については、これらの部隊の隊員のうち、健軍駐屯地での演習に参加する者については、基本的には、朝霞駐屯地での演習には参加しないこととしていたところである。なお、これらの部隊ごとの本演習への実際の参加人数については、現在集計中であり、お答えすることは困難である。

一の3の(1)及び(2)について

 本演習に参加した米軍の部隊及び人数については、ニュースリリースに記載しているとおり、「太平洋陸軍司令部、在日米陸軍司令部、第一軍団、第四十歩兵師団、第三海兵機動展開部隊等」の「約千六百名」であり、また、ここでいう「等」には、例えば、太平洋艦隊及び太平洋空軍が含まれるところであるが、これ以上の詳細については、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

一の3の(3)の前段について

 本演習のうち朝霞駐屯地での演習に参加した米軍の隊員の一部は、同駐屯地外の民間の宿泊施設に宿泊したものと承知しているが、これ以上の詳細については、米軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

一の3の(3)の後段及び(4)について

 本演習の実施期間中の休日等における米軍の個々の隊員の行動について、政府として逐一把握しているものではないが、参加した米軍の部隊の中には、隊員が朝霞駐屯地から外出することを許可する部隊もあったものと承知している。
 いずれにせよ、米軍においては、本演習の実施に際し、参加した米軍の隊員による事件及び事故を防止する観点から、服務指導や一定の外出制限といった対策を講ずるとともに、こうした事件及び事故が発生した場合に備えて、これらを処理するための部署を設置していたものと承知している。

一の3の(5)について

 本演習における米国以外の国からの参加については、オーストラリア連邦陸軍に加え、カナダ陸軍がオブザーバーとして参加する旨をニュースリリースに記載していたところであるが、これ以上の詳細については、参加国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

二の1について

 本演習においては、参加した自衛隊の隊員について技量の評価を行っていない。

二の2から6までについて

 本演習においては、一の2の(2)についてで述べた着上陸侵攻に対処する場面のほか、水陸両用作戦を行う場面、弾道ミサイル、ゲリラ・コマンドウ、テロ等による攻撃に対処する場面、サイバー、電磁波等を含む複数の領域に関わる攻撃に対処する場面等を設定した指揮所演習を日米共同で実施したところであるが、これ以上の詳細については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。

三の1について

 本演習において米軍に一時的に使用させた朝霞駐屯地内の土地、建物等については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条4(b)の規定に基づき、米軍に使用させたものであるところ、これについては、平成十年十二月三日及び令和元年十月十一日に日米合同委員会で合意した上で行われたものである。

三の2について

 本演習において米軍に一時的に使用させた朝霞駐屯地内の土地については、主に米軍の車両の駐車場として使用されたものと承知している。

三の3について

 本演習においては、米軍に対し、朝霞駐屯地内の陸上自衛隊の建物を使用させたところであるが、具体的にどの建物を使用させたかについては、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。

三の4について

 過去に朝霞駐屯地において実施した日米共同方面隊指揮所演習(日本)において、御指摘のような汚水の問題があったことを踏まえ、本演習の実施期間中、同駐屯地内に十分な数の仮設トイレを設置していたところである。

四の1について

 本演習の実施に際しては、自衛隊に対する関係地方公共団体の理解の促進を目的として、陸上自衛隊の東部方面隊の警備区域に所在する二百六十の地方公共団体の職員を対象とした研修を実施したところであり、これらの地方公共団体に対しては当該研修の案内を送付したところである。なお、実際に研修に参加した地方公共団体の職員の人数及びその所属する部署については、現在集計中であり、お答えすることは困難である。

四の2について

 お尋ねについては、令和元年十月二日に、東部方面総監部及び北関東防衛局から東京都練馬区に対し、本演習の実施に関する事前の説明を行った際、当該説明の内容が公表される同月十日までは、当該説明の内容を公にしないよう依頼したところである。

四の3から5までについて

 本演習の実施については、東部方面総監部及び北関東防衛局から朝霞駐屯地に関係する地方公共団体に対し、西部方面総監部及び九州防衛局から健軍駐屯地に関係する地方公共団体に対し、陸上総隊司令部及び沖縄防衛局からキャンプ・コートニーに関係する地方公共団体に対し、それぞれ事前の説明を行ったところである。具体的には、令和元年十月二日に埼玉県、朝霞市、志木市、和光市、新座市及び東京都練馬区に対し、同月四日に東京都に対し、同月七日に熊本県及び熊本市に対し、同年十一月十一日に沖縄県及びうるま市に対し、同月二十六日に埼玉県及び東京都に対し、同月二十七日に朝霞市、志木市、和光市、新座市、東京都練馬区、熊本県及び熊本市に対し、それぞれ説明を行ったところである。
 また、本演習の実施については、朝霞駐屯地周辺の学校及び自治会(以下「周辺学校等」という。)に対しても、直接訪問し、又は電話で連絡する等の方法により、それぞれ事前の説明を行ったところである。具体的には、平成三十一年四月中旬から令和元年五月中旬までの間に五十一の周辺学校等に対し、また、同年十一月中旬から同月下旬までの間に六十三の周辺学校等に対し、それぞれ説明を行ったところである。

五の1について

 本演習の実施に関して我が国が支出した費用又は今後支出する費用の額及び内訳については、確定していないため、現時点でお答えすることは困難である。なお、これらの費用が支出される予算科目をお示しすると次のとおりである。
 (組織)防衛本省(項)防衛本省共通費(目)諸謝金
 (組織)防衛本省(項)防衛本省共通費(目)職員旅費
 (組織)防衛本省(項)防衛本省共通費(目)帰住招集等旅費
 (組織)防衛本省(項)防衛本省共通費(目)通信専用料
 (組織)防衛本省(項)武器車両等整備費(目)通信維持費
 (組織)防衛本省(項)防衛力基盤整備費(目)教育訓練費
 (組織)防衛本省(項)防衛力基盤整備費(目)運搬費

五の2について

 本演習の実施に関して米軍が支出する費用については、政府としてお答えする立場にないが、いずれにせよ、これらの費用については、全て米国が負担している。