第200回国会(臨時会)
内閣参質二〇〇第一一〇号 令和元年十二月十七日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山東 昭子 殿 参議院議員青木愛君提出陸上自衛隊オスプレイの暫定配備要請に係る千葉県及び木更津市からの照会に対する防衛省の回答に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員青木愛君提出陸上自衛隊オスプレイの暫定配備要請に係る千葉県及び木更津市からの照会に対する防衛省の回答に関する質問に対する答弁書 一について 防衛省においては、垂直離着陸機V二二オスプレイ(以下「V二二」という。)の佐賀空港への恒常的な配備に向け、令和元年八月九日に、佐賀県有明海漁業協同組合に対し、V二二の佐賀空港への配備計画等について説明を実施したところであり、同年九月十七日からは、同組合の十五の支所に対しても、同様の説明を実施してきているところである。 二について お尋ねの「木更津駐屯地への暫定配備期間」については、V二二の佐賀空港への恒常的な配備のために必要となる同空港における施設整備の工期が確定していないこと等から、現時点で確たることをお答えすることは困難である。 三について 御指摘の「防衛省は木更津市との間に暫定配備期間厳守のための協定書を締結する必要はないと回答している」との事実はない。 なお、防衛省においては、木更津駐屯地への暫定的な配備を行った場合のV二二については、同駐屯地に配備されている自衛隊の航空機の運用時間等について定める木更津飛行場運用規則に基づき運用されることとなるため、同省と木更津市等との間で、V二二の運用時間等について新たに文書で確認するような必要はないと考えているところであり、このことについては、令和元年十一月十五日に開催された木更津市議会基地政策特別委員会協議会において、同省から木更津市議会に対して説明したところである。 四について 仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、政府としては、V二二の木更津駐屯地への配備はあくまで暫定的なものであり、引き続き、佐賀空港への早期配備に向けた取組を着実に進めていきたいと考えている。 五について 防衛省においては、①V二二の運用に必要な滑走路長を有すること、②駐屯地又は基地内にV二二を十七機配置する地積があること、③駐屯地又は基地に既に配備されている航空機の運用への影響を最小限にとどめることができること及び④既存の格納庫等の施設が利用可能であり、V二二の運用基盤を整えやすいことという四つの要件を満たす自衛隊の駐屯地及び基地の中で、陸上自衛隊水陸機動団が所在する相浦駐屯地までの距離が最も近く、また、無給油での飛行が可能である木更津駐屯地を、V二二の暫定的な配備先として最適であると判断したところである。 なお、V二二の運用に必要な滑走路長を有している自衛隊の駐屯地又は基地を機械的に挙げれば、陸上自衛隊の丘珠駐屯地、帯広駐屯地、八戸駐屯地、神町駐屯地、北宇都宮駐屯地、木更津駐屯地、八尾駐屯地、米子駐屯地美保分屯地、山口駐屯地防府分屯地、徳島駐屯地北徳島分屯地、健軍駐屯地高遊原分屯地及び那覇駐屯地、海上自衛隊の八戸航空基地、下総航空基地、硫黄島航空基地、厚木航空基地、岩国航空基地、徳島航空基地、鹿屋航空基地及び那覇航空基地並びに航空自衛隊の千歳基地、三沢基地、松島基地、秋田分屯基地、百里基地、入間基地、新潟分屯基地、静浜基地、浜松基地、小牧基地、岐阜基地、小松基地、美保基地、防府北基地、築城基地、芦屋基地、春日基地、新田原基地及び那覇基地であるが、先に述べたとおり、V二二の暫定的な配備先については、駐屯地又は基地の有する滑走路長のみをもって判断したものではない。 六について 防衛省においては、V二二の操縦士等の教育やV二二の機体の維持整備の効率的な実施等の観点から、十七機のV二二を一か所に集中的に配備した上で運用することが合理的であると考えている。 七について V二二と御指摘の「在日米軍が保有するオスプレイ」との共同訓練については、少なくとも、現時点において具体的な計画はないが、将来的な実施の有無については未定である。 八について 令和元年十月三十一日付けの北関東防衛局長から木更津市長宛ての文書及び同日付けの同局企画部長から千葉県総合企画部長宛ての文書においては、御指摘の点について、「木更津駐屯地に配備されている陸自航空機については、その訓練の多くを木更津飛行場、その場周経路上及び県内外の演習場(習志野演習場、富士演習場、相馬ヶ原演習場、関山演習場等)で行っており、そのほかは、木更津飛行場運用規則により定める千葉県等の上空に設定した空中操作空域、九十九谷(くじゅうくだに)、宇藤原(うとうばら)、大沢といった場外離着陸訓練場、房総低空域飛行訓練場などで行っています。なお、空中操作空域や場外離着陸訓練場、房総低空域飛行訓練場での訓練は、一般的に、これまでもそれほど多くはなく、木更津飛行場及び場周経路上や演習場での訓練が多くの割合を占めており、オスプレイの訓練もこれと同様の態様となることを想定しています。」と記載しているところであるが、いずれにせよ、先の答弁書(令和元年七月五日内閣参質一九八第七五号。以下「前回答弁書」という。)二についてで述べたとおり、木更津駐屯地への暫定的な配備を行った場合のV二二を使用して実際に訓練を行う空域については、訓練の具体的な内容等と併せて現在検討中である。 九の前段について 御指摘の「基本操縦訓練」とは、操縦士が航空機の基本的性能を理解し、出発地から目的地までの飛行を行うために必要な知識及び技能を習得するための訓練を指すものであるが、V二二の木更津駐屯地への暫定的な配備を行った場合における「基本操縦訓練」の具体的な内容、実施頻度及び飛行経路については、現在検討中であり、現時点で確たることをお答えすることは困難である。 九の後段について お尋ねについては、一般に、自衛隊機の操縦士は、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第八十一条の規定による航空機の最低安全高度を確保した飛行を行うことはもとより、より一層安全を確保する観点から、気象条件を考慮しつつ、地域の実情に応じて、住宅地等を回避しながら、上空からの識別が容易な幹線道路、鉄道、河川、海岸線等に沿って飛行することを基本としているところであるが、その時々の気象条件等により、「やむを得ず住宅地の上空を飛行せざるを得ない場合」もあることを述べたものである。 十について 米国の有償援助によるV二二の調達に係る引合受諾書においては、購入国が解約に起因する全ての費用について責任を負うこと等を条件として、当該引合受諾書を解約することができることとされているが、いずれにせよ、政府としては、島嶼部に対する攻撃への我が国の対処能力等を向上させるため、V二二を陸上自衛隊に導入するという考えに変わりはない。 十一について お尋ねについては、前回答弁書二についてにおいて、「木更津駐屯地への暫定的な配備を行った場合のV二二を使用して実際に訓練を行う空域については、訓練の具体的な内容等と併せて現在検討中であり、確たることをお答えする段階にはないが、いずれにせよ、防衛省としては、当該検討と並行して、木更津市以外の地方公共団体への対応の必要性について、千葉県とも相談しつつ、検討していきたいと考えている」と述べたとおりである。 |