質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第一〇八号
  令和元年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田村智子君提出児童扶養手当受給者のプライバシーに過度に踏み込んだ調査などの是正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出児童扶養手当受給者のプライバシーに過度に踏み込んだ調査などの是正に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

三から五までについて

 御指摘の「受給者の自宅等への立入調査」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、四のお尋ねについては個別の事案に応じて判断されるものと考えているが、「児童扶養手当の事務運営における調査の適正な実施について」(令和元年九月三十日付け子家発〇九三〇第二号厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長通知)による、児童扶養手当法施行規則(昭和三十六年厚生省令第五十一号)第一条の手当の支給機関が行う児童扶養手当の受給資格者(以下「受給資格者」という。)の自宅内を含めた調査(以下「調査」という。)は、児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号。以下「法」という。)第二十九条第一項の規定に基づくものではなく、受給資格者の同意を得て行う必要がある。また、受給資格者が調査に応じないことのみをもって、法第十四条の規定に基づき児童扶養手当の額の全部又は一部を支給しないこととすることはできない。さらに、調査に当たっては、受給資格者に対して、事前にその趣旨、目的等について丁寧に説明した上で、同意を得るとともに、プライバシーの保護の観点から、その個別の状況に応じて適切に調査担当者、調査日時、調査手法等を設定する必要があるものと考えている。

六について

 お尋ねについては、「平成三十年度児童扶養手当事務処理マニュアル」(平成三十年八月十五日付け厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室扶養手当係事務連絡別添。以下「マニュアル」という。)において、認定請求時の主な確認書類及び現況届時の主な申立書として、民生委員の証明等を求めるとともに、疑いのある事案については、市等の職員、民生委員等が協力して実態調査や現地調査を実施することとしており、今後のマニュアルの見直しに当たっても、当該趣旨について引き続き適切に周知してまいりたい。また、民生委員は、民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)第十四条第一項第五号の規定に基づき、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所その他の関係行政機関の業務に協力することとされ、民生委員法第十五条において、その職務を遂行するに当たっては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならないこととされており、児童扶養手当の受給資格の認定に係る事務等に協力する場合においても、関係法令の規定に基づき、プライバシーに配慮しつつ、適切に対応されるべきものと考えている。

七について

 お尋ねについては、個別の事案に応じて判断されるものと考えているが、児童扶養手当に係る事務の処理に当たっては、「児童扶養手当の事務運営におけるプライバシーの保護に配慮した事実婚の支給要件の確認方法に関する留意事項について」(令和元年九月三十日付け子家発〇九三〇第一号厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長通知)において、「支給要件に関し、受給資格者の生活実態の確認に際しては、必要以上にプライバシーの問題に立ち入らないよう十分配慮する必要があり」、「プライバシーに関する聞き取りをする場合には、個室や衝立のあるコーナーで行うなど、できる限りプライバシーの保護に配慮すること」としており、受給資格者のプライバシーに配慮しつつ、適切に対応されるべきものと考えている。

八について

 個別の事案が法第四条に規定する支給要件(以下「支給要件」という。)に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えている。また、お尋ねの「一律に受給者が妊娠したと推定される日、または出産時から十月十日遡った日を受給資格喪失日とするなど機械的な取り扱い」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
 なお、児童扶養手当は、離婚等による稼得能力の低下を補い、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的とするものであるところ、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合(以下「事実婚」という。)には、ひとり親世帯と同程度に稼得能力が低下しているとはいえないことから、支給要件に該当しないものとして取り扱っているところである。事実婚の解釈については、「児童扶養手当及び特別児童扶養手当関係法令上の疑義について」(昭和五十五年六月二十三日付け児企第二十六号厚生省児童家庭局企画課長通知)において、「当事者間に社会通念上夫婦としての共同生活と認められる事実関係が存在」していること、及び「原則として同居していることを要件とするが、ひんぱんに定期的な訪問があり、かつ、定期的に生計費の補助を受けている場合あるいは、母子が税法上の扶養親族としての取り扱いを受けている場合等の場合には、同居していなくとも事実婚は成立しているものとして取り扱うこと」としていることから、「自治体が何をもって事実婚と判断するかは不明確」との御指摘は当たらず、また、それを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
 また、その他のお尋ねについては、政府としては、「子供の貧困対策に関する大綱」(令和元年十一月二十九日閣議決定)を踏まえ、引き続き経済的支援等の子供の貧困対策を総合的に推進していくこととしている。