質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第九七号
  令和元年十二月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員石橋通宏君提出「プロサバンナ事業」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石橋通宏君提出「プロサバンナ事業」に関する質問に対する答弁書

一の1(1)について

 お尋ねの「各プロジェクトの支出総額」については、「ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト」(以下「PI」という。)が約十一億九千六百万円、「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト」(以下「PD」という。)が約七億四千六百万円、「ナカラ回廊農業開発におけるコミュニティレベル開発モデル策定プロジェクト」(以下「PEM」という。)が約十四億五千三百万円である。
 また、お尋ねの「本邦コンサルタントへの支出総額」については、PIが約八億八千百万円、PDが約六億九千八百万円、PEMが約十三億二千九百万円である。

一の1(2)について

 お尋ねの「昨年度の支出額」については、PDが約三百万円、PEMが約二億五千四百万円である。

一の1(3)について

 お尋ねの「毎年の支出額」については、平成二十三年度で約四百万円、平成二十四年度で約千二百万円、平成二十五年度で約一億九百万円、平成二十六年度で約二億三千四百万円、平成二十七年度で約三億七千万円、平成二十八年度で約三億八千百万円、平成二十九年度で約八千九百万円である。

一の2について

 お尋ねの「ブラジル政府の拠出額」は承知していない。

一の3について

 お尋ねの「JICAによる「法の支配の確立支援」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十一年度から平成三十年度までに実施された独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)による法整備支援に関する技術協力プロジェクトについては、「総事業数」が三十二件であり、また、「事業総額」が約六十八億九千万円であるが、このうち、サハラ以南のアフリカやモザンビークで実施された事業はないと承知している。

一の4について

 お尋ねの「資金提供総額」については、平成二十三年度で約百八十九万円、平成二十四年度で約二千四百九万円、平成二十五年度で約二千八百三十七万円、平成二十六年度で約二百十九万モザンビークメティカル及び十一万七千六百米ドル、平成二十七年度で約二百九十四万モザンビークメティカル及び約十一万八千六百米ドル、平成二十八年度で約三百十八万モザンビークメティカル及び約六万八千百米ドル、平成二十九年度で約七十九万モザンビークメティカル、約三万九千三百米ドル及び約三百万円、平成三十年度で約千三百十万円である。また、御指摘の「ブラジル」の「資金拠出」については承知していない。

一の5について

 お尋ねの「調整ユニットが運営するウェブサイト」の「費用」について、JICAの支出として特定できる金額は、平成二十四年度で約三十二万モザンビークメティカル、平成二十五年度で約四十二万モザンビークメティカル、平成二十六年度で約三十四万モザンビークメティカル、平成二十七年度で約二十五万モザンビークメティカル、平成二十八年度で約二十九万モザンビークメティカル、平成二十九年度で約十九万モザンビークメティカル及び約十六万円、平成三十年度で約五十四万円である。

一の6及び7並びに三の2について

 お尋ねの「ウェブサイト」及び「スタッフ」に係る事項については、モザンビーク農業・食糧安全保障省が判断することであり、政府としてお答えする立場にない。

一の8について

 お尋ねの「郡・地区名」については、ララウア郡ララウア・セデ地区、マレマ郡ナタレイア地区、ニオセ地区及びムトアリ地区、メコンタ郡ナサバラ地区、ナミアロ地区及びニカホ地区、メクブリ郡メクブリ・セデ地区、モゴボラス郡イウルテ・セデ地区、イウルティ地区及びナメティル地区、モナポ郡モナポ・セデ地区、ナコロロ地区及びネティア・セデ地区、ムエカテ郡イマラ地区、インコマテ地区、ムクルオネ地区及びムエカテ・セデ地区、ムフプラ郡ムフプラ・セデ地区及びニエシウエ地区、ラパレ郡ムチバゼ地区、ラパレ地区及びラパレ・セデ地区、リバウェ郡シカ地区及びイアパラ地区、ナンプラ市、シンボニラ郡シンボニラ・セデ地区、クアンバ郡エタタラ地区、ルリオ地区及びメピカ地区、リシンガ郡ルサニャンド地区及びサンジャラ地区、マジュネ郡メトモニ地区及びナイルビ地区、マンディンバ郡マンディンバ・セデ地区及びメルルカ地区、メカニェラス郡カロンガ地区及びエントレ・ラゴス地区、ンガウマ郡マサングロ地区及びンガウマ地区、サンガ郡マカロゲ地区、マルル地区及びセデ・ウナンゴ地区、アルト・モロクェ郡ポスト・セデ地区及びビラ・デ・アルト・モロクエ地区並びにグルエ郡グルエ・セデ地区、リオマ地区及びニシリパレ地区である。
 また、お尋ねの「企業・組合・アソシエーション名」については、個別具体的な団体名を明らかにすることは、名誉、プライバシー等の関係者の権利利益を害するおそれがあり、お答えすることは差し控えたい。
 さらに、お尋ねの「支援内容」については、遠隔地コミュニティを対象とした農業技術指導、ジェンダー平等・生計改善支援、農民組織を対象とした野菜生産・販売支援、養鶏支援及び種子生産・販売支援、農業組合支援並びに公正な契約農業の促進である。

一の9について

 お尋ねについて、「熱帯サバンナ農業開発プログラム」(以下「プロサバンナ事業」という。)は、PI、PD及びPEMからなり、そのうち、PEMは、当初、本年五月終了予定であったが、農業開発モデルの実効性の更なる検証・改善と普及支援が必要であると判断され、延長されたものである。なお、PIは平成二十九年十一月に終了し、PDは実施されているところである。

二について

 お尋ねの「大臣」の「指示」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年三月一日の外務省とNGOとの面談において、同省からNGO側に伝達した方針については、国際協力機構環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立審査役が平成二十九年十一月に作成した「モザンビーク共和国ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援事業環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立に係る調査報告書」を踏まえ、同省及びJICAで検討した結果である。
 いずれにせよ、政府として、プロサバンナ事業をめぐる様々な意見があることは承知しており、モザンビーク政府に対し、現地住民の人権に配慮し、農民組織や市民社会団体との丁寧な対話を粘り強く続けるよう働き掛ける等の取組を行ってきている。政府としては、こうした取組を通じ、プロサバンナ事業が現地住民の理解を得られる形で実施されるよう努めていく考えである。

三の1について

 お尋ねの「昨年十月までの当該スタッフの月例報告」には「裁判および判決」の記述はなかったと承知している。

三の3について

 お尋ねの「同室」については、平成二十四年二月九日にJICAのモザンビーク事務所内に設置され、その後、同年五月三日にモザンビーク農業・食糧安全保障省のモザンビーク農業研究所内に移設されたと承知している。

三の4から6まで、10及び12から14までについて

 御指摘の「裁判」は、モザンビーク政府を当事者とする行政裁判であり、同国政府によって適切に対応されるものと考えている。

三の7、9及び11について

 お尋ねについては、我が国の開発協力の実施を担うJICAは、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値の共有や、平和で安定し、安全な社会の実現のための支援を行うと承知している。

三の8について

 お尋ねの「開発援助におけるモザンビークの三権分立、並びに司法の独立と優位性を尊重する意思の有無」については、政府としては、一人ひとりの権利が保障され、人々が安心して経済社会活動に従事し、社会が公正かつ安定的に運営されることが不可欠であると考えており、我が国はそうした発展の前提となる基盤を強化する観点から、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値の共有や、平和で安定し、安全な社会の実現のための支援を行う考えである。

三の15について

 お尋ねの「これらの文書」の「公開」については、JICAが法令に従って適切に対応しているものと承知している。

四の1について

 御指摘の報道については承知しているが、個々の報道の内容に関し、政府としてコメントすることは差し控えたい。

四の2について

 外交上の個別のやり取りについては、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

四の3について

 プロサバンナ事業への立場いかんにかかわらず、モザンビーク国民の安全を守るのは同国政府の責務であるが、我が国としても、プロサバンナ事業をめぐる様々な意見があることは承知しており、同国政府に対し、現地住民の人権に配慮し、農民組織や市民社会団体との丁寧な対話を粘り強く続けるよう働き掛ける等の取組を行ってきている。