質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第八四号
  令和元年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員福島みずほ君提出外国人の収容および「送還忌避」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出外国人の収容および「送還忌避」に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「送還忌避者」については、法令上の用語ではないが、出入国管理の実務上、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、自らの意思に基づいて、法律上又は事実上の作為・不作為により本邦からの退去を拒んでいる者を指して用いている。

一の2について

 お尋ねの「二〇一三年から二〇一八年の各年における「送還忌避被収容者」の数」については、いずれも集計を行っておらず、お答えすることは困難である。
 また、御指摘の「送還忌避者の実態について」は、近年、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者がおり、このような送還忌避者が、迅速な送還に対する大きな障害となっているばかりでなく、収容期間の長期化の大きな要因となっている状況を踏まえ、送還忌避者の実態等を明らかにするために集計し公表したものである。

一の3について

 退去強制令書の発付を受けた者が難民認定手続中である場合は、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の六第三項の規定により送還を停止するものとされている。

二の1について

 入管法第五十二条第五項の規定による収容は、入管法第五章に定める慎重な手続により退去強制令書が発付された外国人について、直ちに本邦外に送還することができない場合に、送還可能のときまで行われるものであり、被収容者が同条第四項の規定により自ら本邦を退去することなどによりすぐさま収容状態が解かれるという性質のものであることから、憲法第十三条、第三十一条及び第三十四条との関係で問題を生ずることはないと考えている。

二の2及び3について

 令和元年六月末現在の、退去強制令書に基づく収容期間が六か月以上である被収容者の数は、六百七十九人(速報値)である。
 また、お尋ねの「本邦で出生したものの数」については、集計を行っておらず、お答えすることは困難である。

二の4について

 お尋ねの「作成された背景」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「仮放免運用方針」は、近年、難民認定手続における濫用・誤用事案への対策が急務となっており、濫用・誤用的難民認定申請者に対して従来から講じている就労・在留制限措置が更に拡大されたこと等を踏まえて定められたものであるところ、その一部については、これを公にすることにより、公共の安全と秩序の維持及び仮放免事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとの理由から公表を差し控えている。

三について

 出入国在留管理庁においては、従来から、退去強制手続に際し、原則として、児童は収容しないこととしているのみならず、その児童の監護に必要な親がいる場合には、原則として、その親も収容することなく手続を行い、例外的に児童を収容する場合であっても、その期間は必要最小限にするとともに、収容時の児童の処遇についても児童の最善の利益を考慮して対応しているほか、児童の送還についても可能な限り家族と共に送還するなど、個々の事情を考慮しつつ適切に対応しているところである。