質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第七一号
  令和元年十二月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員野田国義君提出臨時財政対策債の発行及び償還並びにその在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員野田国義君提出臨時財政対策債の発行及び償還並びにその在り方に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについて、総務省が地方公共団体を対象に行った調査によると、平成二十九年度末における臨時財政対策債の残高の合計は五十三兆九百十億円(一億円未満を四捨五入した数字)である。

一の2について

 お尋ねについて、総務省が地方公共団体を対象に行った調査により、平成二十九年度末における臨時財政対策債の残高(一億円未満を四捨五入した数字)が多い上位五団体の①名称及び②その残高(一億円未満を四捨五入した数字)を、都道府県及び指定都市の別にそれぞれお示しすると、次のとおりである。
①大阪府 ②二兆二千四百二十四億円
①愛知県 ②一兆九千三百六十億円
①神奈川県 ②一兆八千六百十七億円
①北海道 ②一兆七千四百二十億円
①埼玉県 ②一兆六千八百四十四億円
①大阪府大阪市 ②七千四百十九億円
①神奈川県横浜市 ②六千五百六十二億円
①北海道札幌市 ②四千七百九十七億円
①京都府京都市 ②四千四百十六億円
①兵庫県神戸市 ②三千九百八十四億円

一の3について

 お尋ねについて、総務省が地方公共団体を対象に行った調査により、平成二十年度から平成二十九年度までの間に、臨時財政対策債の残高が増加した割合の高かった上位五団体の①名称、②平成二十年度末時点の臨時財政対策債の残高(一億円未満を四捨五入した数字)、③平成二十九年度末時点の臨時財政対策債の残高(一億円未満を四捨五入した数字)及び④残高が増加した割合(小数点第二位を四捨五入した数字)を、都道府県及び指定都市(平成二十九年度末時点の指定都市をいう。)の別にそれぞれお示しすると、次のとおりである。
①愛知県 ②四千八百五億円 ③一兆九千三百六十億円 ④三百二・九パーセント
①大阪府 ②六千十九億円 ③二兆二千四百二十四億円 ④二百七十二・六パーセント
①静岡県 ②三千七十四億円 ③一兆九百八十四億円 ④二百五十七・四パーセント
①兵庫県 ②四千百五十八億円 ③一兆四千五百五十八億円 ④二百五十・一パーセント
①千葉県 ②四千五百三億円 ③一兆五千六百九十三億円 ④二百四十八・五パーセント
①岡山県岡山市 ②四百十一億円 ③千四百五十四億円 ④二百五十四・〇パーセント
①熊本県熊本市 ②四百九十三億円 ③千六百七十三億円 ④二百三十九・六パーセント
①新潟県新潟市 ②六百十三億円 ③二千六十六億円 ④二百三十七・三パーセント
①大阪府堺市 ②五百七十四億円 ③千九百三十五億円 ④二百三十六・九パーセント
①広島県広島市 ②千七十二億円 ③三千三百六十八億円 ④二百十四・一パーセント

一の4について

 お尋ねについて、総務省が地方公共団体を対象に行った調査によると、平成二十九年度に発行された地方債全体に占める臨時財政対策債の割合は三十一・〇パーセント(小数点第二位を四捨五入した数字)である。

二の1について

 お尋ねの「臨時財政対策債償還費」については、地方交付税の算定において、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第二条第三号に規定する基準財政需要額に算入されるものであるところ、地方交付税は、使途の定めのない一般財源であり、国は、その交付に当たり、条件を付け、又は使途を制限してはならないとされていることから、具体的な使途は各地方公共団体の判断に委ねられるものである。

二の2について

 臨時財政対策債を満期一括償還方式(償還期限の満了の日において元金の全部を償還する方式をいう。以下同じ。)で発行した地方公共団体においては、地方交付税の基準財政需要額に算入された当該臨時財政対策債の元金償還額に相当する額を減債基金(地方財政法施行令(昭和二十三年政令第二百六十七号)第十一条第三号に規定する減債基金をいう。以下同じ。)に積み立てていれば、当該臨時財政対策債の満期時においてその元金の償還に必要な財源が確保される仕組みとなっているが、当該相当額を減債基金に積み立てていない場合には、当該臨時財政対策債の満期時においてその元金の償還のために減債基金以外の財源が必要となることもあり得るため、政府としては、満期一括償還方式で発行している地方債の償還財源を確保するため、減債基金への計画的な積立てを行うことが財政運営上適切であると認識している。

二の3について

 臨時財政対策債償還費については、各地方公共団体の臨時財政対策債発行可能額(地方交付税法第十二条第一項の表道府県の項第十三号及び同表市町村の項第十四号に規定する地方債の額をいう。)を基礎として、償還年限を含め標準的な償還条件に基づいた全国一律の償還条件により各年度の元利償還金を理論的に算出していることから、個別の地方公共団体の実際の償還年限が理論的に算出した全国一律の償還年限と異なる場合には、実際の償還額と交付税の措置額に差が生ずることとなる。

三について

 政府としては、臨時財政対策債は、地方交付税法第六条の三第二項に規定する「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正」として、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条の特例である同法第三十三条の五の二第一項の規定に基づき発行されている、臨時的かつ例外的な地方債であり、その解消に向けて取り組んでいくことは必要であると考えているが、地方の財源不足の解消方策や臨時財政対策債の具体的な在り方については、今後の地方財政対策の中で検討していくこととしている。