質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第五四号
  令和元年十一月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出NHKの受信料の法的取り扱い等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出NHKの受信料の法的取り扱い等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、御指摘の答弁書(令和元年八月十五日内閣衆質一九九第一六号。以下「一六号答弁書」という。)一から三までについてでは、「放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第六十四条第一項において、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会と受信契約を締結する義務があることを定めており、当該受信契約を締結した者は、協会に対し、当該受信契約に基づく受信料を支払う義務がある」とお答えしているところであり、国民に誤解を与えるものではないと考えている。

二について

 お尋ねの「放送法六十四条に基づいて受信契約は締結したものの受信料を支払わない者の件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本放送協会(以下「協会」という。)の「平成三十年度決算概要(令和元年六月)」によると、平成三十年度末時点において、受信契約に基づく受信料を支払う義務があるにもかかわらず受信料を支払わない者の件数は約七十六万件となっている。また、お尋ねの「放送法六十四条に反して受信設備があるにもかかわらず受信契約を締結しない者の件数」については、「日本放送協会平成三十年度業務報告書」によると、同年度末時点において、協会が推計する受信契約対象数は約四千九百八十八万件、受信料の全額免除を受けている受信契約数を除く受信契約数は約四千百六十九万件となっており、当該受信契約対象数から当該受信料の全額免除を受けている受信契約数を除く受信契約数を差し引くと約八百十九万件となる。さらに、お尋ねの「平成二十九年最高裁判決を受けてNHKが訴訟によって増加させた受信契約の数と、それに必要とした費用」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

三について

 御指摘の「未収受信料欠損償却費」については、協会において、過去の実績に基づき、翌年度における受信料未収金の収納不能見込額を算出し、計上しているものと承知している。受信料の未払に関して、政府としては、受信料の公平負担の確保が重要であると認識しており、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第七十条第二項の規定に基づき協会の収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見において、公共放送の役割や受信料制度の意義も含めて丁寧な説明を行い、国民・視聴者の理解を得るよう努めることを求めている。協会においては、未払者対策を進めているが、こうした指摘も踏まえ、引き続き適切に対応されるべきものと考えている。また、御指摘の「受信料未収金の計上額」約五十六億円については、受信料未収金約百八十五億円から未収受信料欠損引当金約百二十八億円を差し引いたものと承知している。

四について

 お尋ねの「受信料の支払いをめぐる異議申し立てにより訴訟に至る件数」、「NHKの具体的な取り組み姿勢」及び「それぞれに必要とした費用」については、それらの意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。お尋ねの「受信契約の未締結者に対する訴訟件数」については、「日本放送協会平成三十年度業務報告書」によると、協会が平成三十年度に提起した民事訴訟の件数は七十一件となっている。

五について

 お尋ねの「判断基準」については、協会において判断されることであり、政府として把握しているものではないため、お答えすることは困難である。

六について

 御指摘の「未払者対策」については、まずは協会において検討し実施されるべきものと考えている。

七について

 お尋ねの「NHKの公共放送としての社会的使命」については、一六号答弁書四についてでお答えしたとおり、「あまねく日本全国において受信できるように、豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行う等」のことである。

八について

 放送法第六十四条第一項ただし書に規定する「放送の受信を目的としない受信設備」とは、受信設備の設置目的が客観的に放送の受信を目的としないものと解されているところ、御指摘の「ワンセグ付き携帯電話やワンセグ付きカーナビゲーション」については、客観的に放送の受信を目的としないものと認めることができないため、同項ただし書に規定する「放送の受信を目的としない受信設備」に該当しないものと考えている。