第200回国会(臨時会)
内閣参質二〇〇第五三号 令和元年十一月十九日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山東 昭子 殿 参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の導入に伴う労働者の労働条件の変化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業の導入に伴う労働者の労働条件の変化に関する質問に対する答弁書 一及び二について お尋ねについては、地方公共団体における職員、職員労働組合、過半数の職場代表者との交渉・対応に関するものであるため、地方公共団体において適切に対処されるべきものであると考えており、政府において、御指摘の「使用者側が労働者の代表に対して具体的にどのように対応するべきかが示された統一的な方針やマニュアル」は存在しない。 三について 御指摘の「転籍」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「転籍」が民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「PFI法」という。)第七十九条の規定に基づく地方公務員の派遣をいうとすれば、政府において、当該派遣の運用に当たって留意する事項を示した「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(平成三十年十月十八日民間資金等活用事業推進会議決定)等を策定・公表し、地方公共団体に対し説明・周知しているところである。 四について お尋ねの「転籍を拒否した場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「拒否」が、地方公務員がPFI法第七十九条第一項に規定する任命権者又はその委任を受けた者の要請に応じないことをいうとすれば、当該要請に応じないことは、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条第一項各号に掲げる職員の意に反して降任し、又は免職することができる事由には該当しないものと考えている。 また、「自治体職員」が「分限免職される可能性」については、同項第四号において、職員の意に反して降任し、又は免職することができる事由の一つとして、職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合を定めているが、地方公務員の分限免職についての過去の裁判例において、任命権者が被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、その努力を尽くさずに分限免職処分をした場合には権利の濫用となると判示されており、分限免職については、このような考え方も踏まえ、各地方公共団体において、同法の規定に基づき、適切に対処されるべきものであると考えている。 五について 御指摘の「厚生労働省をはじめとしたPFI研究プロジェクトは、コンセッション事業の導入に伴う雇用問題について、EU(ヨーロッパ連合)で導入されているTUPE(事業を譲渡する会社の雇用を守ることを目的とした法規制)について研究・討議してきた」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 六及び七について 御指摘の「転籍」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「転籍」がPFI法第七十九条の規定に基づく地方公務員の派遣をいうとすれば、PFI法第二十二条第一項において、公共施設等運営権者は、公共施設等の管理者等と公共施設等運営権実施契約を締結しなければならないとされ、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律施行規則(平成二十三年内閣府令第六十五号)第五条において、公共施設等運営権実施契約の内容には、公共施設等運営権者と任命権者又はその委任を受けた者との間で、個別の地方派遣職員の当該公共施設等運営権者における報酬その他の勤務条件並びに当該公共施設等運営権者において従事すべき業務及び業務に従事すべき期間(退職する日の翌日から起算して三年を超えない範囲)その他当該地方派遣職員をその業務に従事させることに関し必要な事項を定めた取決めを締結する旨を含むものとされ、当該取決めについて内閣府が作成した「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)に基づく取決書のひな形」において、退職派遣の期間が終了した場合(当該運営権者が就業規則の規定に基づき当該地方派遣職員を解雇した場合を含む。)は、当該任命権者又はその委任を受けた者は当該地方派遣職員を採用するものとすること等を定めている。政府としては、公共施設等運営権者と任命権者又はその委任を受けた者との間で、当該取決めが遵守されるものと考えている。 |