質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第二六号
  令和元年十月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出景気判断の下方修正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出景気判断の下方修正に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 景気動向指数(CI一致指数に限る。以下同じ。)は、生産や雇用等の景気に関する経済指標を統合して指数化したものであり、その基調判断については、景気動向指数の動向をあらかじめ決められた基準や表現に機械的に当てはめて行っているところである。本年八月分(速報)の景気動向指数の基調判断について表現が悪化となったのは、生産や出荷等を示す経済指標が低下したことを受けて、景気動向指数が「原則として三か月以上連続して、三か月後方移動平均が下降」かつ「当月の前月差の符号がマイナス」との基準を満たしたためである。
 他方、月例経済報告においては、景気動向指数だけではなく、様々な経済指標の動向やその背景にある経済環境、企業の景況感等を総合的に勘案して、景気の基調を判断しているところである。御指摘の本年九月の月例経済報告では、景気について、「緩やかに回復している」としつつも、「輸出を中心に弱さが続いている」との認識も同時に示しており、輸出に起因した生産や出荷等を示す経済指標の弱さも捉えられている。

二について

 景気基準日付(景気の山・谷)は、専門家による事後的な検証を経て設定されるものであるが、現時点における政府の景気判断については、本年十月の月例経済報告において、「景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」としているところである。

四について

 今回の消費税率引上げに当たっては、前回引上げ後に景気の回復力が弱まったという経験を十分にいかし、税率引上げ前後の需要変動の平準化を図るため、十二分な対策を講ずることとしたところである。具体的には、教育無償化や社会保障の充実、軽減税率制度の実施により、今回の引上げによる経済への影響は二兆円程度に抑制されている。加えて、本年度当初予算の臨時・特別の措置として二兆円程度、税制面では〇・三兆円程度、合わせて二・三兆円程度の措置を講じているところであり、これらを円滑に実施することで、消費をしっかりと下支えし、経済の回復基調を確かなものとしてまいりたい。

五について

 我が国経済は、デフレではない状況を作り出し、長期にわたる回復を持続させており、GDPが名目・実質ともに過去最大規模となる中で、国民生活に密接に関わる雇用・所得環境も改善している。こうした中で、「国民生活に関する世論調査(令和元年六月調査)」(令和元年八月内閣府公表)では、第二次安倍内閣発足後、全体として現在の生活の程度を「満足」とする者の割合が高まっており、本年においても七割を超える高い水準を維持していることが示されているところ、今後とも、政府としては、国民一人一人に景気回復を実感していただけるよう努力を重ねてまいりたい。