質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第二〇号
  令和元年十月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「暗号資産」を寄附することは、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第四条第三項に規定する「金銭」及び「物品」以外の「財産上の利益」を寄附することに該当すると考えている。

三及び四について

 御指摘の「暗号資産については「法的な手当」がないため、消去法的に「金銭等」ではないと位置づけているのではないか」の意味するところが明らかではないが、政治資金規正法第二十一条の二第一項において、一定の例外を除き、公職の候補者の政治活動に関して「金銭等」による寄附をしてはならないこととされ、同法第四条第一項及び政治資金規正法施行令(昭和五十年政令第二百七十七号)第二条の規定により、「金銭等」とは「金銭」及び「有価証券」とされているところ、同法における「金銭」とは法定通貨と同義であると解され、「有価証券」とは財産権を表示する証券で、その権利の移転、行使に証券を必要とする私法上の有価証券であると解されているため、暗号資産は、「金銭等」には該当しないと考えているところである。
 また、同法においては、暗号資産による寄附を含め、公職の候補者に対して個人のする政治活動に関する寄附について、同法第二十一条の三第三項及び第二十二条第二項の規定により、政党及び政治資金団体以外の政治団体に対する寄附を含めて各年中において総額千万円を超えることはできず、かつ、同一の公職の候補者に対しては各年中において百五十万円を超えることはできないとされているほか、同法第二十二条の五第一項の規定により外国人からの寄附を受けてはならないとされ、同法第二十二条の六第一項の規定により本人の名義以外の名義又は匿名による寄附をしてはならないこととされていること等から、「暗号資産による公職の候補者への寄附が野放図に行われかねず・・・同法の立法目的と整合しなくなる」及び「同法の運用上、不適切」との御指摘は当たらないと考えている。
 なお、暗号資産による寄附を、同法第二十一条の二第一項の規定により禁止されている金銭等による寄附と同様に禁止するためには法令上の措置が必要となると考えるが、公職の候補者の政治活動を制限することとなるなど、政治活動の自由と密接に関連する事項であり、各党各会派において御議論いただきたいと考えている。