質問主意書

第200回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇〇第一〇号
  令和元年十月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田島麻衣子君提出外国人材の受け入れ・共生のための対応策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田島麻衣子君提出外国人材の受け入れ・共生のための対応策に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、文部科学省が令和元年五月から六月にかけて行った「外国人の子供の就学状況等調査」の結果も踏まえつつ、同月十八日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において決定された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の充実について」等に沿って、多言語による就学案内の徹底など外国人の子供の就学の促進を図ってまいりたい。

二について

 御指摘の「外国人材」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、在留外国人に関する統計に関しては、これまでも定期的に都道府県別、市町村(特別区を含むものとし、指定都市にあっては、区)別等の在留外国人数を公表している。加えて、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第十九条の三に規定する中長期在留者については、在留資格の変更の許可を受けるなどして在留カードに記載されている在留資格等の事項に変更があったときには、住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の五十の規定に基づき、出入国在留管理庁長官は、遅滞なく当該中長期在留者が記録されている住民基本台帳を備える市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長に通知することとされていることから、市町村との間で当該情報の共有を行っているところであり、今後とも地方自治体との間で必要な情報共有を行ってまいりたい。

三について

 お尋ねの「支援が必要な外国人の子どもに関する統計データ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「外国人の子どものうち、現在発達障害のある者の数、児童養護施設の入居者数、また貧困層にある子ども」の数の把握については、今後、必要に応じ、その可否を含めて検討してまいりたい。また、身体障害者手帳及び療育手帳の交付者数等については福祉行政報告例において、精神障害者保健福祉手帳の交付者数等については衛生行政報告例において、それぞれ公表しているが、御指摘の「外国人の子どもに関する」「障害者手帳交付状況に関して・・・のデータ」は把握していない。

四について

 御指摘の「日本語を母語としない子どもを支援する語学相談員」及び「現場の無資格者も受講できる仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、日本語指導が必要な児童生徒への支援を行う支援員については、政府としては、各地方自治体が実施する支援員等を対象とする研修へのアドバイザーの派遣や、研修に資するモデルプログラムの開発・普及を通じて、その資質向上を図っているところである。

五について

 御指摘の「多文化共生に向けた教育」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十九年三月三十一日に改訂した小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号。以下「新小学校学習指導要領」という。)及び中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)並びに平成三十年三月三十日に改訂した高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)では、いずれもその前文において、教育の目標として「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と規定した上で、各教科等においても、これを踏まえてその内容を規定しており、例えば、新小学校学習指導要領の社会科においては、第六学年で「外国の人々の生活の様子などに着目して、日本の文化や習慣との違いを捉え、国際交流の果たす役割を考え、表現すること」について指導することとしており、その際、「世界の人々と共に生きていくために大切なことや、今後、我が国が国際社会において果たすべき役割などを多角的に考えたり選択・判断したりできるよう配慮する」こととしている。
 また、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策等について定める「教育振興基本計画」(平成三十年六月十五日閣議決定)においては、「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度や、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野でグローバルに活躍できる人材を育成する」ことを目標として定めているところである。

六について

 お尋ねの「現在の協力状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「協力覚書」については、現在までに、「特定技能」の在留資格について悪質な仲介事業者の排除を目的とし情報共有の枠組みの構築を内容とする二国間取決めを九か国との間で、「技能実習」の在留資格について不適切な送出し機関の関与の排除等を目的とした二国間取決めを十四か国との間で、それぞれ作成している。
 また、お尋ねの「国内の悪質なブローカーに対する行政指導」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国内の悪質な仲介事業者等に関する情報を得たときは、当該仲介事業者等を排除するため、必要な調査等を行った上で、法令に基づいて適切に対応している。

七について

 お尋ねの「受け入れ企業や自治体の公営住宅担当課等の負担の在り方」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としても、外国人が地域社会の一員として共生できるような環境の整備は重要であると認識しており、例えば、国土交通省において、御指摘の「ゴミ出しルール」を含む賃貸住宅の入居者が尊重すべき社会生活上のルールを周知するための冊子を作成し、地方自治体にも当該冊子の周知を図っているほか、法務省においても、生活や就労に関する社会生活上のルールを取りまとめ、同省の外国人生活支援ポータルサイトに掲載し啓発を行っているところである。