質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一七号

アプリ上で行われたグループチャットの公文書管理法上の扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月九日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   アプリ上で行われたグループチャットの公文書管理法上の扱いに関する質問主意書

 令和元年十一月二十七日、東京都渋谷区の澤田伸副区長は、ペンタブレットの分野で世界トップシェアの企業が主催するイベントで渋谷区のITを活用した取り組みについての講演を行った。澤田副区長は広告会社出身で、民間では一般化している考え方を区政の運営に取り入れた事例として、渋谷区では、効率が悪いと揶揄される「会議」に「Office 365」にバンドルされている「Teams」を利用していることを紹介した。澤田副区長は、「すべては「Teams」に記録が残る。言った、言わないなどはあり得ない」と指摘している。
 令和元年六月、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、「IT新戦略の概要―社会全体のデジタル化に向けて―」を明らかにし、「デジタル技術の恩恵を誰もが享受できるインクルーシブな「デジタル社会」の実現に向けた重点計画をとりまとめる。テクノロジーを漠然と受容することなく、社会実装を強く意識して、国民生活・経済活動の質を高めるのに能動的かつ積極的に活用し、産業競争力の強化にとどまらず社会課題の解決にまで役立てていくことを宣言する」としている。
 右のように政府は積極的にIT技術の利活用に取り組む姿勢を明らかにしており、政府においてもグループチャットのアプリが利活用される日は遠くないと考えるものの、公文書管理法上、右のようなグループチャットのアプリ上で交わされた職員間の議論がどのような扱いになるのかについて、議論はなされていない。
 しかしながら、グループチャットのアプリ上で行われる議論は、公文書管理法第二条第四項でいう「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(中略)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」に他ならないと解すべきである。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 これまで、政府の機関での「Office 365」の「Teams」やライン、メッセンジャーのようなグループチャットのアプリの導入例、またその活用例はあるか。

二 政府の機関が前記一のようなアプリを利活用してオンライン上で行った会議の記録(録画を含む。)は、公文書管理法上の「行政文書」に該当するのではないか。また、当該記録は、情報公開の対象となり得るのか。

三 前記一のようなアプリを政府の機関が利活用する場合、公文書管理法上、どのような扱いをなすべきか議論されていないものの、かかるアプリの導入は遠からず行われるものと考える。政府はかかるアプリの導入のための公文書管理法上の扱いを議論し、指針などを作成すべきではないか。政府の見解如何。

  右質問する。