質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇一号

災害時における学校飼育動物、ペットショップの動物等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月五日

塩村 あやか   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   災害時における学校飼育動物、ペットショップの動物等に関する質問主意書

 この度の台風十五号、十九号、二十一号と低気圧による豪雨がもたらした災害(以下「今回の災害」という。)では多くの課題が浮かび上がった。その中の課題の一つである学校で飼育されている動物(以下「学校飼育動物」という。)や、ペットショップ若しくは繁殖施設において飼育・保管される動物について質問をする。
 今回の災害の発生後すぐに、動物愛護団体調査員より、「販売をしていた犬猫に多くの犠牲が出たホームセンターのペットショップがある」と情報提供があった。店舗が浸水した結果、半数以上の犬が溺死していたという。この件は新聞報道もされている。これまでの災害時にも、数多くの類似案件が発生していたが、現在、販売される動物たちを災害から守るための法やガイドラインはどこにも存在していない。
 動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」という。)改正の経緯をみていても、業界団体には、命を大切にするという意識が、言葉とは裏腹に希薄であると言わざるを得ない。
 そこで、大切な命を守るため、以下政府に質問する。

一 ペットショップ若しくは繁殖施設においてケージに入れられた動物が浸水時に逃げることができず溺死してしまうような悲劇を繰り返してはならない。国がガイドラインや指針を示したり、啓発したりするなどのアクションを起こすことが必要であると考えるが、政府は、災害からペットショップ若しくは繁殖施設において飼育・保管される動物を守るため、今後どのように対応すべきと考えているのか伺う。

二 前記一に関連し、今回の災害での学校飼育動物の被害について伺う。

1 学校の飼育小屋が水没し、飼育していた小動物が全滅した例もあると聞く。政府は、今回の災害での学校飼育動物の被害状況(学校ごとの死亡又は負傷した動物の種類及び頭数)を把握しているのか。把握していれば明らかにされたい。把握していない場合は、文部科学省の指導のもとで学校での動物飼育が行われていることに鑑み、また、学校での動物飼育は命の大切さを教えることを旨としていることからも、把握すべきであると考えるが、政府の見解を伺う。
2 文部科学省は各都道府県教育委員会に対し、環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」において、管理者は、地震、火災等の非常災害に際しても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮することとされていること等を周知しているが、教育現場においては必ずしも適切な対応を取れていないのが現状である。
 今回の災害においては、学校飼育動物を自宅に連れ帰り、動物の命を守る対応をした学校もあったが、学校飼育動物を自宅に連れ帰ることすらできなかった学校が多く見られたのが事実である。そうした学校に対する指導を含め、政府は、災害から学校飼育動物を守るため、今後どのように対応すべきと考えているのか伺う。

三 前記一及び二に関連し、特定動物について伺う。
 特定動物とは、動物愛護法で指定された約六百五十種の危険な動物のことであり、飼養するには、都道府県知事の許可が必要である。
 安全確保のため、飼養施設の構造や保管方法についての基準を守らなければならないとはいえ、特定動物が災害時に逃げ出してしまえば大変に危険である。また、災害時に特定動物と一緒に同行避難をすることは困難である。
 第百九十八回国会における同法改正で、特定動物を愛玩目的として飼養することは禁止となったが、現在許可を受けて飼養している特定動物は附則により引き続き飼養できることとなっている。
 政府は、災害から特定動物を守る一方、人間等に危害を及ぼさないようにするため、今後どのように対応すべきと考えているのか伺う。

  右質問する。