質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇〇号

公立・公的等四百二十四病院の公表に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月五日

吉田 忠智   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   公立・公的等四百二十四病院の公表に関する質問主意書

 本年九月二十六日の地域医療構想に関するワーキンググループで、公立・公的医療機関等の担うべき役割や機能別病床数の再検証を要請する四百二十四病院の名称が記された文書(以下「リスト」という。)が公表された。リストの公表が対象病院関係者はもとより、病院所在地の地域住民や自治体に与えた動揺はいまだ収まっていない。去る十一月十二日の参議院総務委員会における、リストは撤回すべきではないかとの私の問いに対し、橋本岳厚生労働副大臣は、「公表の仕方が丁寧ではなかった」、「反省をしなければならない」と述べたものの、リストの撤回には応じなかった。質疑後の状況変化についての確認を行うべく、以下質問する。

一 リストの公表後、医師や看護師、採用する予定であった人がやめる、あるいはこの地域から公立病院がなくなるのではないか、という不安の声が住民から出ている旨を橋本副大臣に指摘したところ、橋本副大臣からは、私が指摘したような不安の声は把握しており、しっかり受け止めなければならないと思っている旨の答弁を頂いた。不安の声を「しっかり受け止め」、政府内でどのような話し合いを行い、どのような対策を行っているかご説明願いたい。

二 厚生労働省医政局からの要請の通知については、前記一で述べた住民の不安の声に鑑み、発出を止めるべきではないかと前記委員会で質問したが、橋本副大臣は「通知についてはさせていただきたい」との答弁であった。委員会での質疑後も、本件について多くの声が厚生労働省等に寄せられていることと思うが、通知の発出を中止することを改めて政府として検討頂きたい。政府の見解を問う。また、通知を行う場合は具体的にいつ発出することを想定しているか。

三 地域医療構想に関するワーキンググループに学識者、病院団体、自治体首長、保険者代表などを選出した理由は何か。また、そのメンバーに労働者団体が入っていないのはいかなる理由によるものか。中央社会保険医療協議会の「三者構成」のように利用者の意見が反映され得る体制にすべきではないのか。

四 地域医療構想は都道府県が主体となり二次医療圏ごとに決めるものであり、国から強要されるべきものではないと思料するが、政府の見解を問う。

五 リストは二〇一七年六月時点での定点データに基づいており、情報としては不十分ではないか。なぜこの定点データを採用したのか。また、今後データの見直しを行う考えはあるか。

六 病院のあり方を公平に検討するのであれば、民間病院のデータも同じ指標で提供すべきと思料するが、政府の見解を問う。

七 今回のリストの公表について厚生労働省、総務省は「病院の統廃合を要請するものではない」としているが、自治体によっては、統廃合を励起する懸念がある。誤った方向づけをしないために、政府からも「病院の統廃合を要請するものではない」との通知以外にどのような対応を考えているか。

八 公立病院の三十%が人口三万人未満の地域にあり、代替不可能な病院が多数含まれていることについての政府の見解を問う。

九 民間医療機関が、公立病院の代替として地域医療を維持することはできるのか。とりわけ近年増加している災害対応という面でも地域医療の担い手として民間医療機関が適しているのか、理由を明らかにしてお答え願いたい。

十 具体的対応方針の再検証の期限が二〇二〇年三月及び九月とされているが、拙速ではないか。期限の延長を検討すべきでないか。

十一 経済財政運営と改革の基本方針二〇一九に表記された国による助言や支援を行う「重点対象区域」とは、どこを想定しているか。

  右質問する。