第200回国会(臨時会)
質問第九六号 大嘗祭をはじめとする一連の御即位関連儀式に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年十二月五日 熊谷 裕人
参議院議長 山東 昭子 殿 大嘗祭をはじめとする一連の御即位関連儀式に関する質問主意書 令和元年十一月十四日から翌十五日にかけて、大嘗祭の中心儀式である「大嘗宮の儀」が皇居で行われた。大嘗宮の儀は、天皇陛下の御即位にあたっての一世一度の重要祭祀で、十一月十四日午後六時半から「悠紀殿供饌の儀」が、翌十五日午前零時半から「主基殿供饌の儀」が行われた。右の儀式に対する関心はとても高く、国民の皇室への崇敬の念の下で執り行われた。 大嘗祭終了後、天皇、皇后両陛下が、伊勢神宮(三重県伊勢市)や歴代天皇陵を参拝される「親謁の儀」が行われた。十一月二十二日、翌二十三日に伊勢神宮、同月二十七日に神武天皇陵(奈良県橿原市)、孝明天皇陵(京都府京都市)、同月二十八日に明治天皇陵(京都府京都市)、十二月三日に昭和天皇陵、大正天皇陵(ともに東京都八王子市)に両陛下が参拝されたと承知している。 右の一連の儀式は、「登極令」(明治四十二年二月十一日皇室令第一号)に依拠するものと解される。例えば、登極令第八條では「大嘗祭ノ齋田ハ京都以東以南ヲ悠紀ノ地方トシ京都以西以北ヲ主基ノ地方トシ其ノ地方ハ之ヲ勅定ス」とあり、同第十六條では「即位ノ禮及大嘗祭訖リタルトキハ天皇皇后ト共ニ神宮神武天皇山陵並前帝四代ノ山陵ニ謁ス」とある。しかし、登極令は昭和二十二年に廃止され、現在、これらの規定は法的効力を持たない。 しかしながら、大嘗祭をはじめとする一連の御即位関連儀式は然るべく法的根拠に基づき、行われるべきであると考える。 このような観点から、以下質問する。 一 令和元年に行われた大嘗宮の儀をはじめとする一連の御即位関連儀式は、登極令に依拠するものであるとの理解でよいか。 二 前記一に関連して、一連の御即位関連儀式は登極令に依拠するものの、登極令そのものは廃止されていることから、現時点で一連の御即位関連儀式の手続きは法的根拠を持たないという理解でよいか。 三 登極令第十一條では「即位ノ禮ヲ行フ期日ニ先タチ天皇神器ヲ奉シ皇后ト共ニ京都ノ皇宮ニ移御ス」、同第十七條では「即位ノ禮及大嘗祭訖リテ東京ノ宮城ニ還幸シタルトキハ天皇皇后ト共ニ皇霊殿神殿ニ謁ス」との規定があり、登極令は京都での「即位ノ禮及大嘗祭」を執り行うことを前提としているが、現行の法令ではどこで即位の礼や大嘗祭を行うかについての規定がないのではないか。 四 政府は、今後、京都で即位の礼や大嘗祭を行うことは想定していないという理解でよいか。それとも京都で行われることは排除されないのか。 五 前記三に関連して、平成、令和と東京で即位の礼や大嘗祭が行われている事実に鑑みれば、その手続き等を法令で明記すべきではないか。 六 国民は令和の即位の礼や大嘗祭がつつがなく行われたことを祝福し、皇室に対する崇敬の念をより深めたものと考える。現在、かつての登極令に相当するような、即位の礼や大嘗祭の手続きについての法令上の規定がないと解されるため、今後、国民的議論を喚起し、かかる法整備を速やかに行うべきではないか。政府の見解如何。 右質問する。 |