質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九三号

内閣官房副長官補室が新たに入手した「慰安婦」関係文書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十二月五日

紙 智子   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   内閣官房副長官補室が新たに入手した「慰安婦」関係文書に関する質問主意書

 内閣官房副長官補室は、二〇一七年度、二〇一八年度に日本軍「慰安婦」関係文書(以下「「慰安婦」関係文書」という。)を入手している。それらの文書を日本政府としてどのように入手したのか、それらの文書にどのような記述があるのかについて、以下質問する。

一 内閣官房副長官補室が、二〇一七年度と二〇一八年度に入手した「慰安婦」関係文書は、どの政府機関から受領したものか、送付元の政府機関名を明らかにされたい。また、当該文書の所蔵先及び当該文書が収録されている簿冊名またはその行政文書ファイル名を明らかにされたい。

二 二〇一七年度に内閣官房副長官補室が入手した「慰安婦」関係文書の中の記述について、それぞれお答えいただきたい。

1 昭和十三年五月十日付の外務大臣廣田弘毅発の件名「支那渡航婦女ノ取締ニ關スル件」の文書に、「内務省ニ於テハ現地ノ勢ニ應シテ前記訓令ノ實施ニ手心ヲ加ヘンコトヲ考慮シツツアルニ付テハ貴地ニ於ケル現在ノ實情ニ関シ」との記述があるか。
2 昭和十三年六月一日付の在山海關副領事佐々木高義発、外務大臣宇垣一成宛の件名「支那渡航婦女ノ取締ニ關スル件」の文書に、「支那ニ於テ所謂酌婦ト稱スルハ單ニ酒間ヲ斡旋スル婦女ヲ指スニアラスシテ内地ノ娼妓ト同様ノ稼業ニ従事スルモノナルガ内地婦女子中ニハ往々ニシテ文字通リ解譯シ漫然渡来シ到着地ニ於テ醜業ヲ強ヒラレ」との記述があるか。
3 昭和十三年六月七日付の在済南総領事有野學発、外務大臣宇垣一成宛の件名「支那渡航婦女ノ取締ニ關スル件」の文書に、「済南ニ於ケル兵數ノ増加ト將来皇軍ノ前進スル場合ヲ見越シテ四月末迄ニハ少ナク共當地ニ五百ノ特殊婦女ヲ集中シ置キ徐州攻略後ニ於テ同方面ニ多數ヲ進出セシメ度キ希望モ有リ」との記述があるか。
 また、同文書に、「皇軍の徐州占領後當地特務機関トノ打合セノ結果當館ノ證明アル者ニ限リ五月二十二日以降同月末迄ニ軍用車ニ便乗南下(徐州入城ハ當分許サレス臨城、州済ニ止マラシム)シタル特殊婦女數ハ百八十六名」との記述があるか。
4 昭和十三年六月二十九日付の在青島総領事大鷹正次郎発、外務大臣宇垣一成宛の件名「支那渡航婦女ノ取締ニ關スル件」の文書に、「海軍側ハ陸戰隊並第四艦隊乗組兵員數ヲ考量シ藝酌婦合計百五十名位増加ヲ希望シ居リ陸軍側ハ兵員七十名ニ對シ一名位ノ酌婦ヲ要スル意嚮ナルカ當地ハ警備軍ノ移動頻繁ニシテ所要特殊婦女數ノ算定困難ナリトノコト」との記述があるか。

三 二〇一八年度に内閣官房副長官補室が入手した「慰安婦」関係文書の中の記述について、それぞれお答えいただきたい。

1 昭和十三年二月二十八日付で外務大臣廣田弘毅が在支各公館長宛に送った昭和十三年二月二十三日付の内務省警保局長が発した件名「支那渡航婦女ノ取扱ニ關スル件」の文書に、「婦女ノ渡航ハ現地ニ於ケル實情ニ鑑ミルトキハ蓋シ必要已ムヲ得ザルモノアリ警察當局ニ於テモ特殊ノ考慮ヲ拂ヒ實情ニ即スル措置ヲ講スルノ要アリト認メラルルモ是等婦女ノ募集周旋等ノ取締ニシテ適正ヲ缺カンカ帝國ノ威信ヲ毀ケ皇軍ノ名誉ヲ害フノミニ止マラズ銃後國民特ニ出征兵士遺家族ニ好マシカラサル影響ヲ與フルト共ニ婦女賣買ニ関スル國際條約ノ趣旨ニモ悖ルコト無キヲ保シ難キヲ以テ旁々現地ノ實情其ノ他各般ノ事情ヲ考慮シ爾今之ガ取扱ニ關シテハ左記各號ニ準據スルコトト致度依命此段及通牒候」との記述があるか。また、同文書に「一、醜業ヲ目的トスル婦女ノ渡航ハ現在内地ニ於テ娼妓其ノ他事實上醜業ヲ営ミ満二十一歳以上且花柳病其ノ他傳染性疾患ナキ者ニシテ北支、中支方面ニ向フ者ニ限リ當分ノ間之ヲ黙認スルコトトシ昭和十二年八月米三機密合第三七七六號外務次官通牒ニ依ル身分證明書ヲ発給スルコト」との記述があるか。
2 昭和十三年六月三十日付で外務省條約局長が内務省警保局長に送った「支那渡航婦女ノ取締ニ關スル件」に、「内地ヨリ渡支スル醜業婦ニシテ身分證明書ノ下付ヲ受クル望ミ薄キモノハ一旦朝鮮又ハ満洲ニ到リタル後北支居住ノ知己又ハ同業關係者ニ呼寄方ヲ依頼シテ北支ヘ向フモノ少カラズ」との記述があるか。

  右質問する。