質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六八号

羽田空港の新飛行ルートに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十一月二十一日

山添 拓   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   羽田空港の新飛行ルートに関する質問主意書

 政府は、首都圏の空港の機能強化策の一環として、羽田空港の国際線を増便するために離着陸ルートを変更し、二〇二〇年三月二十九日以降、都心を含む人口密集地の上空を超低空かつ多頻度で航空機を飛行させようとしている(以下「新飛行ルート」という。)。
 しかし、新飛行ルートの直下やその近辺の住民からは、騒音、落下物、墜落の危険、あるいは資産価値の低下など、様々な不安と懸念が表明され、複数の区議会で新飛行ルートの見直し等を求める決議や意見書が採択されている。
 住民の理解を得られない中で新飛行ルートの運用開始を強行することは許されず、直ちに撤回すべきであると考える。
 そこで、以下質問する。

一 本年三月以降、複数の区議会(以下「前記各区議会」という。)において、新飛行ルートの計画について「容認することはできない」(品川区議会)、「見直し等を強く求める」(渋谷区議会)など、懸念を表明する決議や意見書が採択されている。

1 総理や国土交通大臣は国会において、新飛行ルートは「地元の理解」を得て進める旨、繰り返し答弁しているが、前記各区議会において、新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議や意見書がその後撤回ないし変更され、「地元の理解」を示す新たな決議や意見書が採択された事実はあるか明らかにされたい。
2 国土交通省は、前記各区議会の新飛行ルートの計画について懸念を表明する決議ないし意見書の採択以降、前記各区議会に対し、いかなる対応を行ったか示されたい。

二 国土交通省は、新飛行ルートの追加の対策として、南風好天時の新到着経路の降下角を三度から三・五度に出来る限り引き上げることによって、飛行高度の引き上げ、騒音影響の低減を図るとしている。

1 羽田空港において「南風好天時」が想定される年間の日数、時間帯、全到着便に占める「南風好天時」に到着する便の割合について、過去の実績に基づき具体的に示されたい。
2 降下角を三・五度に引き上げることにより、新飛行ルートにおける騒音はどの程度低減されるのか、根拠とともに示されたい。

三 国土交通省は、本年十月十八日、「直近二十年程度の間に、世界の国際空港で新たにルートの拡張や新空港の開港、既存空港の拡張などにより、羽田空港の新飛行ルートのように都心部を低空で飛行する離着陸ルートを新たに設定した例があるか」という私の問いに対し、「承知していない」と回答した。この回答に相違はないか。国際空港評議会が調査・公表している世界の各空港における私の前記問いに該当する例の有無について、国土交通省の把握するところを明らかにされたい。

四 国土交通省は、二〇一七年十一月以降、全国七空港(成田、関西、羽田、中部、福岡、那覇、新千歳)について、航空機の部品欠落情報の報告制度を設けている。二〇一八年十一月から二〇一九年十月までの報告件数及び二〇一七年十一月から二〇一九年十月までの累積報告件数を明らかにされたい。

五 国土交通省航空局は、新飛行ルートの周知のための広告・広報費用(以下「広告・広報費用」という。)について、私の事務所の問い合わせに対し、「過去五年間の予算額は約十億五千万円程度」と回答している。

1 広告・広報費用の過去五年間の執行額を年度別に明らかにされたい。
2 二〇二〇年度予算の概算要求における広告・広報費用の計上額を明らかにされたい。

  右質問する。