質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五五号

避難の在り方や避難所等の災害対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十一月十二日

塩村 あやか   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   避難の在り方や避難所等の災害対策に関する質問主意書

 この度の台風十五号、十九号、そして二十一号と低気圧による豪雨は、全国に大きな被害をもたらした。また、避難の在り方や避難所等についても多くの課題が見つかった。
 以下質問する。

一 今回、ペットとともに避難しようとして、避難所に入ることができない人が多数出た。ペットの同行避難を可能とすることは、飼い主の命を守ることにもつながるため、予防接種などについての飼い主への啓発も含め、関係省庁が連携をし、ペットの同行避難の環境が整うよう、関係者への啓発や自治体への働きかけなどが必要だと考える。
 そのためにも、ペットの同行避難について、避難所運営マニュアルなどに明記することを自治体に改めて促すために、通知等を出すべきだと考えるが、政府の見解を伺う。
 また、今回の災害ではペットの同行避難に限らず、各自治体が作った避難所運営マニュアルが機能しなかった。今後は今回のような災害にも対応できるよう、各自治体に避難所運営マニュアルの見直しを行うよう促すべきと考えるが、政府の見解如何。

二 今回、多くの避難所が満員となり、新たに入れなかったという問題が発生した。避難所に入れず、あの風雨の中を帰宅させられた人や、新たに開設された遠い避難所を紹介されて、避難を断念した人もいたという。
 今後、避難所や避難の在り方をどう改善し、地域住民等へ避難情報をどう周知し、自治体の取り組みをどうサポートするのか、政府の見解を伺う。

三 本年十一月七日の参議院内閣委員会で、内閣府の策定した「避難勧告等に関するガイドライン」における「要配慮者等の避難の実効性の確保」の「(要配慮者)等」に、河川敷にいる人や、路上生活者、ホームレスが含まれるよう、同ガイドラインに明記すべきとの私の指摘に対し、平内閣府副大臣は、「地下にいる人と路上生活で何が違うんだというのは、確かにカテゴリー見て分かりにくいところもあると思いますので、今後、ちょっと議論をして整理をしたいと思います。」と答弁した。
 改めて伺うが、地下街等の利用者だけでなく、河川敷にいる人(ホームレスを含む。)についても同ガイドラインにおける「(要配慮者)等」に含まれるよう、同ガイドラインに明記する、または自治体職員が認識できるような措置を講ずるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 日本では、多くの自治体において、学校など公共施設が避難所になっているが、私が文部科学省に確認したところ、学校でのトイレの男女比などは「全く把握をしていない」、「設計・建築基準の中に何の決まりもない」とのことであった。「全く把握をしていない」、「何の決まりもない」というのは事実か、まず明らかにされたい。
 また、今後、学校など公共施設の新築や増改築をする場合、避難所としての機能を担う可能性を想定し、例えば、要支援者対策やスフィア基準を考慮する、またはこれらを設計方針に盛り込むべきだと考えるが、政府の見解を伺う。

五 今回の災害でもボランティア不足が報道され、課題となっている。災害時にボランティア活動を支援する職能支援者を各自治体で採用するなど、ボランティア活動の拡充が必要である。
 個人でのボランティア活動には活動費の控除、NPO等のボランティア団体に対しては補助を行う等の税制優遇措置や補助金制度が必要と考えるが、政府の見解を伺う。

六 今回の災害では、千葉県を中心に多くの家屋の屋根に被害が出た。当初、自衛隊によるブルーシートの展帳が行われたが、被災者の中には自費で行った人もおり、不公平になると千葉県が判断し、千件以上のブルーシートが展帳されないままの被災家屋を残し、自衛隊は活動を終了した。
 このまま雨がふれば、更なる家屋損壊につながり、被災者は本来避けることのできた損失を重ねて被ってしまうことからも、自衛隊が率先して駆けつけられるよう、内閣府はしっかりとリエゾンの役割を果たすべきだと考える。
 十月三日に設置された「令和元年台風第十五号に係る検証チーム」では、具体的にどのようなことについて議論が行われるのか。また、同検証チームにおいて、ブルーシートの展帳の問題、自治体とのコミュニケーションの問題等、徹底的に検証し、今回の千葉県のような対応が繰り返されないようにすべきと考えるが、政府の見解を伺う。

七 今回の災害による甚大な被害では、自治体を超えて応援職員が派遣されている。被災地は財政的にも苦境に立たされているが、災害対策基本法第九十一条によると、応援職員の費用は被災自治体の負担とされている。また、短期の災害応援については応援自治体が、中長期での出張については被災自治体が負担することとなっており、そのうち八割は特別交付税で措置されるが、残り二割については双方の自治体の負担とされている。
 応援自治体・被災自治体双方の負担をなくす制度を検討すべきだと考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。