質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四四号

アコヤ貝の大量斃死に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月二十九日

ながえ 孝子   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   アコヤ貝の大量斃死に関する質問主意書

 本年八月初旬頃から、宇和海沿岸の愛媛県宇和島市及び愛南町の真珠養殖業者が養殖中のアコヤ貝が大量に死ぬ被害(以下「アコヤ貝の大量斃死」という。)が発生している。アコヤ貝の大量斃死は九月に入っても続き、多いところでは、養殖中のアコヤ貝の八、九割が被害にあっている。以下、このアコヤ貝の大量斃死に関して質問する。

一 愛媛県漁業協同組合連合会などの調査では、九月末時点の推計で、死んだアコヤ貝は稚貝が二千二百三十万個、成長した母貝が四百六十九万個で、被害総額は約三億六百万円に上ることが明らかとなった。このほか、被害額は算出できていないが、真珠の核を挿入したアコヤ貝百十七万個にも影響が出た。
 同様の被害は、愛媛県だけでなく三重県や長崎県などでも発生している。農林水産省として把握しているアコヤ貝の全国的な被害の状況を示されたい。

二 愛媛県は全国の真珠生産量の三十八%を占める全国第一位の真珠生産県であり、養殖に使う母貝を他県の真珠養殖業者にも出荷している。このため、アコヤ貝の大量斃死が日本の真珠養殖業全体に与える影響は甚大な規模になると容易に推測される。
 真珠は日本の誇る宝石であり、貴重な輸出資源でもある。その生産母体は、多くが過疎地域の小規模零細業者であり、基礎体力がないが、当該地域では「食べていける産業」として若い年代層に働く場を提供する大事な存在でもある。政府として、被害にあった真珠養殖業者をどのように救済し、支援していくのか示されたい。

三 アコヤ貝の大量斃死を受け、愛媛県では、予定されている真珠の核入れに間に合うかどうかは分からないものの、稚貝を新たに孵化させて母貝を確保しようと対処している。しかし、もしアコヤ貝の大量斃死が今年だけの一過性のものでなく、来年も発生した場合、ただでさえ基礎体力の落ちている小規模零細業者は経営を続けていけず、廃業に追い込まれるところも多く出てくることが容易に考えられる。農林水産省としては、アコヤ貝の大量斃死の発生原因をどのように認識しているのか、また、これからどのような対応策を講ずる予定であるのか示されたい。

  右質問する。