第200回国会(臨時会)
質問第四一号 東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の物流分野の交通需要マネジメントに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年十月二十九日 熊谷 裕人
参議院議長 山東 昭子 殿 東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の物流分野の交通需要マネジメントに関する質問主意書 令和元年十月十八日、政府の「二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る交通輸送円滑化推進会議」(以下「推進会議」という。)は、今年の夏に行われた東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の交通需要マネジメント(以下「TDM」という。)を想定した実証実験の結果、「主に一般道で一定のTDMの効果が現れたものの、交通量の削減目標には届いていない状況」であり、「特に首都高において大会関係車両等による増加が見込まれる中、物流分野での取組を強化することにより、TDMの一層の効果発揮が必要」であるとの見解を確認した。大会組織委員会や東京都などは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中に都心部で交通量を三割削減する目標を掲げているが、実証実験では達成できなかったと承知している。 これを踏まえ、推進会議は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中は都心部で時間指定の配送サービスを中止するよう大手宅配会社に要請(以下「推進会議の要請」という。)する方針を示した。宅配に伴う交通混雑を解消する目的を有するものと思われる。推進会議の要請は、宅配便の約九割を占めるヤマト運輸と佐川急便、日本郵便の三社を想定していると報じられ、十月中にも、推進会議が時間指定サービスの中止、再配達の削減、配送時間帯の見直し、共同配送など六項目について個別に対応を求めるものと承知している。 右を踏まえて、以下質問する。 一 TDMの実証実験の結果が「主に一般道で一定のTDMの効果が現れたものの、交通量の削減目標には届いていない状況」であった理由は何か。 二 推進会議の要請には、法的根拠はないという理解でよいか。法的根拠があるとすれば、その根拠を示されたい。 三 推進会議が大手宅配会社に要請する項目は、時間指定サービスの中止、再配達の削減、配送時間帯の見直し、共同配送など六項目という理解でよいか。 四 前記三に関連して、通常、再配達を依頼する場合には、時間指定をすることが多いが、時間指定サービスが中止されている中で再配達を依頼しても、在宅時に受け取ることは困難であり、再配達の削減にはつながらないと考えられる。推進会議の要請には、この点、実効性がないのではないか。 五 東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中のTDMにあたっては、配達受付そのものを取りやめなければ、中継施設、配達所に宅配物がたまっていくだけであり、推進会議の要請は実効性に欠けるのではないか。 六 推進会議の要請により、対象となるとされる大手宅配会社三社には経済的損失が生じるのか。また、そのような試算は行ったのか。経済的損失が生じるとすれば、その金額は当該三社でそれぞれどの程度か。 七 前記六に関連して、経済的損失が生じるならばその補償は政府が行うべきではないか。政府がその損失を補償する場合、その法的根拠を示されたい。 八 東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の物流分野のTDMは東京の首都機能の一部麻痺にもつながりかねないもので、慎重に判断されなければならない。現時点でも相当の混乱が想定でき、また推進会議の要請も必ずしも実効性があるものとは思われない。そもそも物流分野のTDMを行うことが妥当であるのか。政府の見解如何。 右質問する。 |