質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三七号

台風第十九号による埼玉県内の被害状況への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月二十三日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   台風第十九号による埼玉県内の被害状況への対応に関する質問主意書

 令和元年台風第十九号により、埼玉県をはじめとして東日本の各地で甚大な被害が生じた。政府は、台風第十九号の暴風雨による災害について、激甚災害に指定するものと承知している。
 埼玉県内では河川の堤防の決壊、氾濫、土石流による道路の寸断なども生じ、被害状況の全容はいまだ明らかではなく、迅速な対策が急がれる。
 しかしながら、例えば、埼玉県東松山市の越辺川や都幾川で生じた堤防の決壊と家屋の水没被害などは、昭和二十二年九月のカスリーン台風でも同じ場所で同様の被害が生じており、地域住民から河川の改修の要望が繰り返しなされていたものの、放置されていたという事実がある。
 平成二十一年六月十八日の埼玉県東松山市議会の議事録によると、松坂喜浩市議会議員が越辺川の今次の台風第十九号による堤防の決壊場所を含む付近の危険性を指摘したのに対し、東松山市建設部長は「国・県に対する要望として、東松山市都幾川改修促進協議会、都幾川・市野川水系改修促進期成同盟会や入間川水系改修工事期成同盟会を通じ、要望を続けているところ」と述べたものの、現在に至るまで要望されている改修は着手されてこなかった。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 台風第十九号により水害の発生した地域においては、繰り返し市や県から国に要望がありつつも放置された結果、カスリーン台風の時と同じ場所で堤防の決壊が生じた事例が見られる。国の治水事業の優先順位の付け方はどのような基準になっているのか。過去に大きな被害が生じた場所では同様の被害が起こりえることは容易に推測できる。政府の見解如何。

二 台風第十九号による災害について、激甚災害として指定する方向であることは評価するが、その支援内容はどのようなものになるのか。埼玉県内の農林水産分野に限定された措置だけではなく、埼玉県内の河川や道路等に流入した土砂、浸水の排除事業等をはじめ、その他の土木分野を含む措置も支援内容に加えられるのか。そうでないとしたら、加えるべきではないのか。政府の見解如何。

三 激甚災害の指定にあたっては、被災した市町村や都道府県による被害状況の調査を経て、各省庁が査定見込額を算定する。今次の台風第十九号による埼玉県内の被害は甚大であり、また、被災した市町村においては、まず現場での災害対策へ人員が割かれるため、市町村が適切かつ迅速に被害状況の全容を把握することは困難と予想される。かかる市町村による被害状況の全容把握を支援するために政府は何らかの方策をとる準備があるのか。政府の見解如何。

四 前述のとおり、東松山市が「国・県に対する要望として、東松山市都幾川改修促進協議会、都幾川・市野川水系改修促進期成同盟会や入間川水系改修工事期成同盟会を通じ、要望を続けてい」たにもかかわらず、それが実現してこなかったのは、何らかの技術的な問題あるいは何らかの支障があったためなのか。現在に至るまで要望されている改修が着手されてこなかった理由について、政府の認識を明らかにされたい。

五 埼玉県をはじめとする北関東の水害対策は、カスリーン台風の被害を踏まえて、そのような被害を二度と生じさせないという思想で行われていると承知している。しかしながら、今次、埼玉県東松山市・川越市ではカスリーン台風の時と同じ場所で堤防の決壊が生じ、甚大な被害が生じた。政府として、今後の取り組みはどうあるべきと考えているのか。政府の見解如何。

  右質問する。