第200回国会(臨時会)
質問第三四号 宇宙空間における自衛権行使に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年十月十八日 熊谷 裕人
参議院議長 山東 昭子 殿 宇宙空間における自衛権行使に関する質問主意書 令和元年十月十六日、河野防衛大臣はBSフジの番組に出演し、同盟国である米国や、欧州連合(EU)など友好国の人工衛星が攻撃を受けた場合、集団的自衛権の行使が可能かどうか問われ、「日本は憲法の範囲内でやることはやる。宇宙とホルムズ海峡は違う、というふうにはならない」と述べ、宇宙空間でも自衛権行使が可能との認識を示した(以下「防衛大臣の発言」という。)。 自衛隊法第三条第三項では、「陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする」と規定されるものの、宇宙空間についての規定は自衛隊法には見当たらない。 ピーター・シンガーとオーガスト・コールの共著で、米陸海空軍、米宇宙軍司令部の「推薦図書」となっている「中国軍を駆逐せよ! ゴースト・フリート出撃す(上・下)」で描写される近未来の戦闘でも、戦闘初期段階で宇宙空間にある米軍の人工衛星が無能力化されると想定されており、宇宙空間における自衛権行使の重要性は論を俟たない。 このような観点から、以下質問する。 一 現行の法令の中で、宇宙空間での自衛権行使を規定した法令はあるのか。 二 宇宙空間とは、具体的にはどのような範囲を想定しているのか。国際航空連盟は、高度百キロメートルから上を宇宙空間と定義しているが、政府の見解如何。 三 自衛隊法第三条第三項では、「航空自衛隊は主として空において(中略)行動することを任務とする」とされているが、防衛大臣の発言における「宇宙空間」は、航空自衛隊の行動範囲である「空」に含まれるのか。政府の見解如何。 四 前記三に関連して、現行の自衛隊法を宇宙空間での自衛権行使の根拠とすることは難しいのではないのか。それとも、自衛隊法上の規定の有無にかかわらず、国家の固有の権利として、宇宙空間での自衛権行使が可能と考えているのか。政府の見解如何。 右質問する。 |