質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇号

政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月九日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問主意書

 令和元年十月八日の記者会見において、政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いについて問われた高市総務大臣は、「政治資金規正法上、一定の例外を除き、何人も、公職の候補者の政治活動に関して、金銭等による寄附をしてはならないとされており」、「この法律による「金銭等」というのは、金銭及び有価証券をいう」ところ、「「暗号資産」については、今申し上げた「金銭」及び「有価証券」のいずれにも該当しないことから、従前から、公職の候補者の政治活動に関する金銭等による寄附の制限の対象とならない」と発言した。また、「「暗号資産」を「金銭等」と同様に規制の対象とするためには、当然、法的な手当が必要とな」るとの見解も示した。
 右の高市総務大臣の発言を踏まえて、以下質問する。

一 公職の候補者に暗号資産を寄附することは、政治資金規正法第四条第三項でいう「金銭、物品その他の財産上の利益」のうちの「金銭」を寄附することに該当しないという理解でよいか。

二 公職の候補者に暗号資産を寄附することは、政治資金規正法第四条第三項でいう「金銭、物品その他の財産上の利益」のうちの「物品」を寄附することに該当するのか、それとも「その他の財産上の利益の供与又は交付」をなさしめることになるのか。政府の見解如何。

三 前述のとおり、高市総務大臣は、「「暗号資産」を「金銭等」と同様に規制の対象とするためには、当然、法的な手当が必要とな」ると述べている。現行制度上、暗号資産については「法的な手当」がないため、消去法的に「金銭等」ではないと位置づけているのではないか。そのように位置づけると、暗号資産による公職の候補者への寄附が野放図に行われかねず、政治資金規正法第一条でいう「公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与すること」との同法の立法目的と整合しなくなるのではないか。

四 暗号資産は「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値」(資金決済に関する法律第二条第五項第一号)と解すべきであるが、前述のとおり、暗号資産による寄附は「公職の候補者の政治活動に関する金銭等による寄附の制限の対象とならない」との高市総務大臣の見解が示されたことで、当面、公職の候補者に暗号資産を介して容易に「財産的価値」を供与することが可能になる。現行制度上、「「暗号資産」を「金銭等」と同様に規制の対象とするため」の「法的な手当」がなされていないことのみをもって、暗号資産による寄附は「公職の候補者の政治活動に関する金銭等による寄附の制限の対象とならない」と明言することは、前記三の政治資金規正法の立法目的に反し、同法の運用上、不適切ではないか。政府の見解如何。

  右質問する。