第200回国会(臨時会)
質問第一五号 自律型致死兵器システムに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年十月八日 熊谷 裕人
参議院議長 山東 昭子 殿 自律型致死兵器システムに関する質問主意書 令和元年五月二十日、防衛装備庁長官は参議院決算委員会で「我が国といたしましては(中略)完全自律型の致死性を有する兵器を開発しないという立場を取るとともに、意味のある形での人間の関与が確保された自律型兵器システムについては、ヒューマンエラーの減少や省力化、省人化といった安全保障上の意義があるとの考え」を取ると答弁している。加えて、「人口減少と少子高齢化の急速な進展は喫緊の課題であると認識しておりまして、防衛力の持続性、強靱性の観点からも、人工知能等の技術革新の成果を活用した無人化、省人化を推進することは重要である」との認識を示している。 同委員会では防衛大臣も「判断、選択、決定というような人間の関与というものがしっかりある形での自律型の装備については、これは開発又は運用していっていいと思っておりますが、完全自律型致死兵器と言われるものについてはやはりネガティブな考え方」を持っていると答弁している。 以上を踏まえ、政府の見解を確認したいので、以下質問する。 一 政府は、「完全自律型の致死性を有する兵器を開発しない」との認識でよいか。 二 政府は、「完全自律型の致死性を有する兵器を開発しない」ものの、外国から防衛装備品として調達を行い、将来的に運用することまでは排除しないという理解でよいか。 三 防衛大臣が完全自律型致死兵器について「ネガティブな考え方」を持っていると答弁したことは、防衛装備庁長官が「完全自律型の致死性を有する兵器を開発しない」と明言したことと必ずしも一致しないのではないか。 四 自律型致死兵器システム(以下「LAWS」という。)に関する認識は国際的にも必ずしも明確にされておらず、議論が継続されているものの、LAWSの中に「完全自律型の致死性を有する兵器」が含まれることには異論はないと思われる。政府は、完全自律型のLAWSについては開発しないが、判断、選択、決定というような人間の関与というものがしっかりある形での自律型のLAWSについては、開発又は運用することは排除しないという理解でよいか。 五 前述の防衛装備庁長官の答弁にある「意味のある形での人間の関与が確保された」状態とは、具体的にLAWSのどのような状態を示すのか。また、LAWSが銃弾やミサイルなどの致死性のあるものを発射する場合、その責任の所在はどこにあるのか。政府の見解如何。 六 同年八月二十二日、国連欧州本部でLAWSの規制を議論する政府専門家会合が開催され、完全自律型のLAWSは認められないとする指針が合意された。日本政府代表団も当該指針に同意している。これにより、日本政府には国の政策に当該指針の内容を反映させることが義務づけられることになったという理解でよいか。 七 前記六の指針の中で、「説明責任を機械に移すことができないため、武器システムの使用に関する決定については、人間の責任を保持する必要がある。これは武器システムのライフサイクル全体で考慮する必要がある」旨示されているが、政府は具体的にはどのような形でこれを法令として具体化する予定なのか。もしくは交戦規定(ROE)のレベルで考慮する予定なのか。政府の見解如何。 八 前記六の指針においては、「国際人道法は、致命的な自律兵器システムの開発と使用の可能性を含め、すべての兵器システムに引き続き完全に適用される」旨示されているが、政府は具体的にはどのような形でこれを法令として具体化する予定なのか。もしくは交戦規定のレベルで考慮する予定なのか。政府の見解如何。 右質問する。 |