第200回国会(臨時会)
質問第一〇号 外国人材の受け入れ・共生のための対応策に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年十月四日 田島 麻衣子
参議院議長 山東 昭子 殿 外国人材の受け入れ・共生のための対応策に関する質問主意書 昨今の外国人材の受け入れ拡大に伴い、二〇一八年末の在留外国人の数は二百七十三万千九十三人と過去最高を記録した。本年の出入国管理法の改正と新在留制度の発足で、本邦に在留する外国人の数は、今後とも増加すると予想される。 しかしながら、こうして急増する外国人を「生活者」として迎え入れる基盤の整備は、必ずしも十分なものではない。 これを踏まえ、以下質問する。 一 不就学の外国人の子どもへの支援策について 外国人材の受け入れ拡大に伴い、家族と共に日本で暮らす外国人の子どもの数の増加が見込まれるが、最近の全国調査で、二万人近くの外国人の子どもが不就学又はその可能性がある状態にあることが明らかになった。今後さらに外国人の子どもが増える中で、訪問調査の実施も含め、どのように不就学の外国人の子どもに対する支援を行うのか、政府の取り組みについて明らかにされたい。 二 外国人材に関する統計データの地方自治体との共有について 現在、外国人材の具体的な人数及び在留資格に関するデータは中央省庁で一括管理されており、地方自治体と必ずしも共有されている訳ではない。今後、外国人材に対する効率的な支援を行う上でも、地方自治体との連携は必要不可欠であると考える。外国人材に関する地方自治体との情報共有に係る今後の施策について、政府の考えを明らかにされたい。 三 発達障害児など、支援を必要とする外国人の子どもに関する統計データの集計と共有について 外国人の子どものうち、現在発達障害のある者の数、児童養護施設の入居者数、また貧困層にある子ども等、支援を必要とする子どもの数が、制度として把握されていない。データは有効な対策を立てる上で必要不可欠であることに鑑み、今後どのように支援が必要な外国人の子どもに関する統計データを集計し、公開するのか、政府の取り組みについて明らかにされたい。 また各福祉団体との速やかな連携のために、障害者手帳交付状況に関して(1)身体、聴覚、精神等の具体的な内訳、および(2)国籍別のデータを公表すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 四 日本語を母語としない子ども達の語学相談員の育成について 日本語を母語としない子どもを支援する語学相談員に必要とされる能力及びその呼称は、現在地方自治体の判断に一任されており、提供するサービスの質にばらつきがある。今後も増加する外国人の子どもに対応するためにも、語学相談に関わる人材の育成と質の担保は必要と考える。大学等で専門のカリキュラムを組み修了書を出すことや、現場の無資格者も受講できる仕組みが有用と考えるが、政府の方針を明らかにされたい。 五 多文化共生を理解するための学習指導要領の編成について 外国人材との共生には、異文化に関する理解が必要不可欠であるが、現在の学習指導要領には、多文化共生に関する視点が深く反映されているとは言えない。今後、多文化共生に向けた教育を行うために、どのような指針を立てるのか、政府の取り組みを明らかにされたい。 六 外国人材の受け入れを仲介する悪質ブローカー対策について 外国人材の人権が守られるためには、まん延していると言われる悪質ブローカーの排除が必要不可欠である。中には、本邦の質の高い保育サービスを受けられることを謳い、発達障害のある子どもを持つ親を勧誘する業者もいると聞く。政府は送り出し国と協力覚書を交わすとしているが、現在の協力状況はどのようなものになっているか。 また送り出し国との協力だけでなく、国内の悪質なブローカーに対する行政指導の実績についても明らかにされたい。 七 公営住宅における外国人居住者との共生に係る公営住宅自治会の負担について ゴミ出しルールや夜間の生活マナーなどに関し、日本と海外では生活習慣や価値観が異なる場合があるが、外国人材が地域社会の一員として共生する上で必要なこうした生活習慣や価値観の共有が、多くの場合で公営住宅自治会やボランティアに任されており、住民の大きな負担となっている。持続可能な外国人材の受け入れのために、受け入れ企業や自治体の公営住宅担当課等の負担の在り方について、政府の考えを明らかにされたい。 右質問する。 |