質問主意書

第200回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

幼児教育・保育の無償化に係る内閣府令の誤りに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年十月四日

吉川 沙織   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   幼児教育・保育の無償化に係る内閣府令の誤りに関する質問主意書

 令和元年五月三十一日に公布された内閣府令第六号(子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令)及び内閣府令第八号(特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準の一部を改正する内閣府令)に誤りがあることが発覚し、当該誤りについて、いわゆる官報正誤が行われた。本件について、以下質問する。

一 報道によれば、両内閣府令に誤りがあることは地方自治体からの指摘により発覚したとのことであるが、発覚に至るまでの経緯を明らかにされたい。また、両内閣府令に誤りがあることを一般に公表したのはいつか明らかにされたい。

二 両内閣府令の官報正誤は、本年八月三十日及び九月二十五日の二回にわたって行われたという理解でよいか。過不足がある場合は、その日付を示されたい。

三 両内閣府令における誤りはそれぞれ何箇所あったのか、官報正誤ごとの数とそれらの合計を明らかにされたい。また、法令に数十箇所の誤りが生じることは極めて異例と考えるが、両内閣府令における誤りの数に対する政府の見解を示されたい。

四 宮腰内閣府特命担当大臣(当時)は、本年九月六日の記者会見において、八月三十日の官報正誤は「実際の条例に引用される箇所など」を先行して正誤措置するものであった旨発言している。

1 当該発言にある「実際の条例に引用される箇所など」の「など」とは何か、具体的に明らかにされたい。
2 九月二十五日の官報正誤には「実際の条例に引用される箇所」の正誤措置が含まれているか、明らかにされたい。含まれている場合、八月三十日の官報正誤において正誤措置しなかった理由を明らかにされたい。

五 両内閣府令に誤りがあること及び「実際の条例に引用される箇所など」を先行的に正誤措置することについて、八月三十日の官報正誤が行われる前に、地方自治体に周知したか明らかにされたい。周知した場合、その日付、手段及び内容を明らかにされたい。周知していない場合、その理由を明らかにされたい。

六 前記五において周知していない場合、地方自治体は、両内閣府令に誤りがあることを約三箇月間政府から知らされずにいたことになるが、政府は、このことにより地方自治体において実務上の問題は何ら生じなかったとの認識であるのか明らかにされたい。
 また、両内閣府令が公布された五月三十一日から九月二十五日の官報正誤が行われるまでおよそ四箇月が経過しているが、地方自治体の実務には何ら支障を生じさせることなく、幼児教育・保育の無償化が円滑に開始されるに至ったと評価しているのか、政府の見解を示されたい。

七 八月三十日の官報正誤が行われる前の時点において、両内閣府令の誤りのある条文を引用する条例を既に制定していた地方自治体や、議会で当該条例の案を審議していた地方自治体があったか、政府の把握するところを明らかにされたい。

八 前記七の地方自治体が存在する場合、当該地方自治体の中に、両内閣府令に誤りがあったことを理由として、当該条例を廃止又は改正したり当該条例の案を修正又は撤回したりしたものがあったか、あるいは、これらの行為を今後行おうとしているものがあるか、政府の把握するところを明らかにされたい。

九 両内閣府令の誤りのある条文を引用する条例を制定した地方自治体が存在する場合、幼児教育・保育の無償化を実施するためには、当該地方自治体は、両内閣府令の正誤措置の内容を反映する形で当該条例を改正する必要があるのか、政府の見解を明らかにされたい。改正の要否が当該引用の態様等により異なる場合には、どのような場合には改正が必要となるのか、具体的に説明されたい。

十 前記九において、当該条例を改正する必要がある場合、いつまでにこれを行う必要があるのか明らかにされたい。また、改正が行われるまでの間における当該条例の効力及び当該条例を根拠として実施した幼児教育・保育の無償化の効力は、それぞれどのように評価されるのか、政府の見解を示されたい。

十一 一般に、政省令の条文に誤りが生じ、その条文を引用する条例を地方自治体が制定していた場合、当該条例の効果はどのように評価されるのか、(1)当該政省令の正誤措置も当該条例の改正も行われていない状況と、(2)当該政省令の正誤措置は行われたが当該条例の改正は行われていない状況とに分けて、政府の見解を示されたい。

十二 幼児教育・保育の無償化の実施に当たっては、地方自治体に多大なる財政負担及び事務負担が生じているところ、加えて本件が発生したことは誠に遺憾である。個々の誤り自体は、宮腰大臣が前記四の記者会見で発言したように「初歩的なミス」かもしれないが、通常では考えられない数の誤りが発生していることから、構造的な問題が背景にあることをうかがわせる。そもそも、地方自治体との協議を何ら行わず、実務的な課題を全く考慮せず、「新しい経済政策パッケージ」において一方的に幼児教育・保育の無償化を決定したことが本件の遠因になっていることは想像に難くない。政府は、本件が発生した原因をどのように分析しているのか見解を示されたい。

  右質問する。