質問主意書

第199回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質一九九第一四号
  令和元年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田村智子君提出企業主導型保育事業を巡る詐欺事件等の検証と事業の抜本的見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出企業主導型保育事業を巡る詐欺事件等の検証と事業の抜本的見直しに関する質問に対する答弁書

一の1について

 企業主導型保育事業費補助金実施要綱(以下「実施要綱」という。)においては、企業主導型保育事業を実施する事業者等に対して当該事業の実施に要する費用を助成する業務を行う法人(以下「実施機関」という。)は、本事業を実施する事業者(以下「事業者」という。)又は利用者からの相談等に対する対応を実施することとされており、御指摘の「積極的な対応」については、公益財団法人児童育成協会(以下「協会」という。)において対応するものと承知している。

一の2について

 御指摘の「実際に努力している場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「設置事業者に運営費の助成を行うのではなく、保育現場に運営費が確実に行き渡るような施策を講ずる」ことについては、実施要綱において、協会は事業者への助成事務を実施することとされており、これに沿った対応をしているものと承知している。また、御指摘の「事業譲渡」については、基本的に契約当事者間の問題であると考えているが、協会は必要な支援を行っているものと承知している。

二の1について

 内閣府においては、御指摘の「要請」を受けて、協会に対して、御指摘の「保育施設」にどのような支援が必要であるかについて、利用児童や保育士等の状況を確認し、適切に対応するよう指導したところであり、協会において、必要な支援を行っているものと承知している。

二の2について

 お尋ねの「保育の継続のために保育士の相談に乗り必要な支援を行うこと」及び「安定的に保育を行う体制を作るよう支援すること」については、協会において、御指摘の「保育施設」の状況を踏まえ、施設の安定的な運営に資する支援がなされるよう、適切に指導してまいりたい。

三及び四の4について

 御指摘の「二〇一八年度の助成決定の一覧」については、協会において、令和元年八月九日に公表したところである。なお、この一覧の公表については、平成二十九年度以前の企業主導型保育事業の実施施設の募集においては協会の担当者が審査・選定を行っていたところ、平成三十年度は、協会に外部有識者から構成される審査会を設置して審査・選定する方式に変更したことから、平成二十九年度以前よりも助成決定の時期が遅れたこと、また、助成決定施設数が平成二十九年度には二千五百九十七施設であったのに対し平成三十年度には三千八百十七施設へと大幅に増加し、その内容の精査に時間を要したことから、同日に一括して公表されたものであり、「児童育成協会や内閣府の責任を小さく見せようとする意図があるのではないか」との御指摘は当たらない。
 また、「事業者の申請の取り下げや助成決定の取消がなされた事案を除くべきではない」との御指摘については、企業主導型保育事業の財源が全国の事業主の負担する拠出金で賄われていることに鑑み、本事業の透明性を確保することや施設利用希望者が施設を探しやすくすること等のために、「助成決定の一覧」の公表時点において助成決定されている施設の保育施設名、保育施設定員、設置者等の情報を、協会において、適切に公表しているものと承知している。なお、御指摘の「申請の取り下げや助成決定の取消がなされた事案」については、この一覧の備考欄に記載することとしたところである。

四の1及び2について

 お尋ねの「内閣府・児童育成協会の今後の対応に支障を来たす恐れ」については、内閣府が御指摘の「回答」を行った時点においては、平成三十年度の「助成決定の一覧」は公表されていなかったところ、御指摘の「WINカンパニー、ジャングルフードサービス及びJ―ALIVEが関わる施設の一覧」のみを公表することにより、内閣府が協会と連携して行っている、これらの事業者が助成申込等において不正を行っていたこと等の助成決定の取消し事由等に該当しないかの調査に、支障を来すおそれがあるという趣旨である。
 また、「今後起こるかもしれない事態に対応するよりも、・・・優先されるべきではないのか」及び「詐欺事件の関係者が関係する事案であることを公開しなければ、・・・様々な問題が起こりかねない」との御指摘については、捜査中の事件に関する情報については、当該施設の保育士、利用児童及びその保護者等の名誉やプライバシーを保護する必要があるほか、当該情報を開示することにより罪証隠滅を招くなどして捜査・公判への支障が生ずるおそれがあるため、慎重な取扱いが必要であると考えている。

四の3について

 御指摘の「児童育成協会の担当者」の発言について承知しておらず、お答えすることは困難であるが、協会は、企業主導型保育事業助成要領に基づき、助成決定事業者が助成申込等において不正の事実が判明した場合等において、助成決定の取消しを行った上で、取消年月日、保育施設名、設置者、取消事由等の情報を取消しの決定をした日に公表しているところである。

五の1について

 お尋ねについては、捜査中又は公判係属中の事件に関わることであるため、お答えを差し控えたい。

五の2について

 企業主導型保育事業については、内閣府において、平成三十一年三月十八日に企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会の取りまとめた「企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告」(以下「検討委員会報告」という。)及び同年四月二十六日に公表した「企業主導型保育事業(平成二十八年度・二十九年度助成決定分)の検証について」において示された方向性に沿って、現在、当該事業の制度の改善について検討を進めているところである。

五の3について

 御指摘の「新しい企業主導型保育事業の実施機関の公募や企業主導型保育事業の募集」については、検討委員会報告において、令和元年夏を目途に改めて実施機関を公募し、選定することが適当であり、企業主導型保育事業の実施施設の募集については、その選定された実施機関の下で実施することとされていることを踏まえ、実施する予定である。