質問主意書

第199回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質一九九第一一号
  令和元年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の定期接種に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の定期接種に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「本来、予防接種法に基づいて定期接種されるべきであるものの、実際には接種が漏れている者」及び「予防接種法でいうHPVワクチンの定期接種の積極的勧奨が差し控えられていた者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第五条第一項の規定によるヒトパピローマウイルス感染症の定期の予防接種(以下「定期接種」という。)については、平成二十五年六月十四日に、「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」(平成二十五年六月十四日付け健発〇六一四第一号厚生労働省健康局長通知)により、積極的な接種の勧奨を差し控えることを勧告しているところ、平成二十五年度から平成三十年度までの間における定期接種の対象者のうち、「定期接種実施要領」(平成二十五年三月三十日付け健発〇三三〇第二号厚生労働省健康局長通知別添)に標準的な接種期間として定める十三歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にあった者は、平成十二年四月二日から平成十七年四月一日までの間に生まれた女子であるが、平成三十年十月一日現在の総務省人口推計の十三歳から十八歳までの女性の総人口を単純に合計すると、約三百三十四万人である。また、厚生労働省の「地域保健・健康増進事業報告」によると、平成二十五年度から平成二十九年度までの間に、定期接種を終えた被接種者は、その標準的な接種期間外に接種した者等も含め、約十万人であり、平成三十年度については、未集計である。

三について

 お尋ねの「一人当たりの自己負担額」については、医療機関ごとの接種費用、地方公共団体ごとの予防接種に対する助成額等によって様々であり、政府として網羅的に把握していないため、お答えすることは困難である。

四について

 定期接種によって生じた健康被害については、予防接種法に基づく救済制度があり、同法第十六条第一項の規定により医療費及び医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金等の給付が行われる。一方で、同法に基づかないヒトパピローマウイルス感染症の予防接種(以下「任意接種」という。)によって生じた健康被害については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)に基づく救済制度等があり、同法第十六条第一項の規定により医療費及び医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金又は遺族一時金等の給付が行われるとともに、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業において行われた予防接種に係る健康被害に対しては、予算措置として、同法の給付の対象とならない通院に係る医療費及び医療手当の給付が行われる。

五について

 御指摘の「HPVワクチンの定期接種漏れの者」及び「その場合、国に何らかの財政的支援を求めることができる制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体の判断により任意接種に係る費用の助成を行うことは妨げられるものではない。また、現時点においては、地方公共団体の判断により任意接種に係る費用の助成を行う場合に、国が地方公共団体に対して財政的支援を行う制度はない。