質問主意書

第199回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質一九九第七号
  令和元年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員熊谷裕人君提出公職選挙法施行令第百十条の四でいう特定ポスターへの公費負担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷裕人君提出公職選挙法施行令第百十条の四でいう特定ポスターへの公費負担に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「選挙公営」とは、一般に、国又は地方公共団体がその費用を負担して候補者の選挙運動を行い若しくは選挙を行うに当たり便宜を供与し、又は候補者の選挙運動の費用を負担する制度と考えられている。
 お尋ねの「選挙公営は、「選挙の平等化をはかるもの」であるが、「この平等は自由に対するなんらかの制限なしには実現されえない」ものである」の意味するところが明らかではないが、現在の公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)では、金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段として、選挙運動の費用を公費で負担する枠組みが設けられているものである。

三及び四について

 お尋ねの「特定ポスターへの公費負担の趣旨」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般的に、ポスターの作成単価は、ポスターの作成枚数に応じて変動するものであり、作成枚数の増加に伴い作成単価は安価になるものであるところ、公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八十九号)第百十条の四第一項に規定する特定ポスターの作成について公費負担する作成単価を規定する同条第二項は、昭和五十年の制度創設時において、ポスター一枚当たりの逓増費用が五百枚を区切りとして大きく異なり、ポスター作成費用の見積りにおいて五百枚付近から増加一枚当たりの作成単価がほぼ均一化する傾向があったことから、ポスター掲示場の数が五百である場合を基準とし、作成枚数の増加に応じた作成単価となるよう定めているものであり、このような規定方法は現在でも合理性があるものであると考えている。

五及び六について

 政府としては、三及び四についてで述べたとおり、ポスターの作成枚数の増加に伴い作成単価が安価になることを考慮して公費負担する特定ポスターの作成に係る作成単価を規定する公職選挙法施行令第百十条の四の規定方法は合理性があるものと考えていることから、お尋ねの「公職選挙法の趣旨に反するのではないか」、「公職選挙法第一条でいう「その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする」ことと合致しないのではないか」及び「公職選挙法施行令第百十条の四の規定は合理性に欠け」るとの御指摘は当たらず、同条の規定方法の改正は考えていない。