質問主意書

第199回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質一九九第四号
  令和元年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出感染拡大がとまらない豚コレラの対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出感染拡大がとまらない豚コレラの対策に関する質問に対する答弁書

一について

 平成三十年九月九日から令和元年七月三十一日までの間に豚コレラの患畜又は疑似患畜として家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号。以下「法」という。)第十六条の規定によりと殺された豚の頭数の合計は、約十二万八千頭である。
 また、お尋ねの「被害額」については、個々の豚について御指摘の「通常、出荷した場合の販売額」を推計することが困難であるため、お答えすることは困難である。

二について

 お尋ねの「政府の支援策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国は、法第六十条第一項の規定に基づき、都道府県知事又は家畜防疫員が法を執行するために必要な費用のうち同項各号に掲げるものを負担しているところである。

三について

 豚コレラは、同病にかかっている豚や野生イノシシ、豚コレラウイルスが付着した動物や土等との接触により感染する疾病であり、また、法第三条の二第一項の規定に基づき作成し、公表している豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針(平成二十五年六月二十六日農林水産大臣公表。以下「指針」という。)に基づき平成三十年九月に設置した拡大豚コレラ疫学調査チーム(以下「疫学調査チーム」という。)の調査結果において指摘されているとおり、多くの発生農場において法第十二条の三第一項に規定する飼養衛生管理基準(以下単に「飼養衛生管理基準」という。)の遵守が徹底されていなかったことにより、野生イノシシからの豚コレラウイルスが車両等の出入りを介して農場内に侵入した可能性があるところであるため、政府としては、新たな農場における豚コレラの発生を予防するためには、発生農場におけると殺等の迅速な実施と併せて、各農場において飼養衛生管理基準の遵守を徹底することが最も重要であると考えているものである。

四について

 指針においては、発生農場におけると殺及び周辺農場の移動制限のみによっては、感染拡大の防止が困難と考えられる場合には、まん延防止のための緊急ワクチン接種の実施を決定することとされている一方、疫学調査チームの調査結果においては、多くの発生農場において飼養衛生管理基準の遵守の徹底がなされていなかったことが指摘されていることを踏まえれば、政府としては、現時点において、緊急ワクチン接種の実施を直ちに決定するような状況にあるとは考えておらず、まずは、発生農場におけると殺等の迅速な実施と併せて、各農場において飼養衛生管理基準の遵守を徹底することが最も重要であると考えているところである。

五について

 政府としては、我が国へのアフリカ豚コレラウイルスの侵入を防止するためには、水際対策の強化が特に重要であると考えており、関係省庁の緊密な連携の下、空海港における動物検疫活動の更なる強化等により法に違反した畜産物の持ち込みを未然に防止することなどを通じて、アフリカ豚コレラウイルスの侵入防止に万全を期していく考えである。