質問主意書

第199回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

著作権法の改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年八月五日

川田 龍平   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   著作権法の改正に関する質問主意書

 海賊版のダウンロードに対して罰則を与えるなどの内容を含む著作権法改正案について、政府は、第百九十八回国会での提出を断念したところであるが、去る七月二十六日の内閣府知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会の場で、インターネット上の海賊版対策について議論がなされたとのことである。
 これを踏まえて質問する。

一 七月二十六日の同委員会の場で配付された「インターネット上の海賊版対策に関する工程表(案)」によれば、先の国会で提出を断念した著作権法改正案(以下「旧改正案」という。)を修正の上、提出する準備を進めるとしている。提出の準備を進める前に、法案提出断念に至ったことを真摯に反省し、問題点を洗い出して、パブリックコメントを聞くなどしてから旧改正案の修正に取り組むべきだと思うが、政府は著作権法改正案の提出に向けてどのような取り組みを行っているのか。

二 旧改正案については、インターネットの利用を萎縮させるなどの問題が指摘されており、海賊版であることを知らず、個人的に利用するためにダウンロードした利用者が処罰されるのではとの懸念が強い。以上のことから、拙速に法改正を行うことは国民の意思に反することになると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 旧改正案については、日本漫画家協会などのクリエイター側からも反対の声明が発せられている。創作活動への影響を懸念したものであるが、本来、改正によって利益を得られるはずのクリエイター側が反対するということは、表現の自由を脅かす懸念を感じている証拠であると考えるが、政府の見解を問う。

四 旧改正案には、表現の自由のみならず、言論の自由も脅かしかねない懸念がある。クリエイターの権利の尊重も必要であるが、クリエイターも含む国民の不安を払しょくしてから提出をすべきであり、拙速な法案提出は、文化の発展に寄与するという著作権法の立法趣旨やインターネットを利用する一般国民の意思に反するものと考える。次回の臨時国会、遅くとも来年の通常国会に提出される可能性をはらんでいるが、国民が納得できる内容で提出をするべきと考える。政府の見解を求める。

  右質問する。