質問主意書

第199回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

参議院選挙の応援のために損なわれる政府の危機管理体制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年八月一日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   参議院選挙の応援のために損なわれる政府の危機管理体制に関する質問主意書

 内閣法第十五条では「内閣官房に、内閣危機管理監一人を置く」とされ、同条第二項では、「内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて内閣官房の事務のうち危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する」旨規定されている。
 すなわち、内閣官房長官は、危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)(以下「危機管理に関するもの」という。)を所掌していると解されている。
 令和元年七月十七日、西村官房副長官は記者会見で、安倍総理と菅官房長官が第二十五回参議院議員通常選挙(以下「本参院選挙」という。)の全国遊説のため、同時に首相官邸を不在にしていることについて、「官房長官が指名した政務の副長官が在京して対応する。首相官邸の指揮体制に間隙は生じない」と発言した。官房長官は、危機管理に関するものを所掌しているが、四月の新元号「令和」の発表を契機に注目度が高まり、本参院選挙では応援要請が殺到し、首相官邸を不在にすることが多かったと承知している。
 官房長官は安倍総理とともに、連日、本参院選挙の与党候補の応援活動を続け、七月十六日は安倍総理が新潟、官房長官が広島、同月十七日は安倍総理が山形と宮城、官房長官は新潟を訪れた。官房長官が平日に毎日行う定例会見は、本参院選挙期間中、閣議のある日を除いて官房副長官が代行したものと承知している。
 このように安倍総理や官房長官が同時に総理官邸を不在にして、本参院選挙の応援を優先することは、政府の危機管理体制を損ないかねないとの指摘がある。これに関して西村官房副長官は、緊急時には防災・警察無線で官房長官と連絡を取ったり、ヘリコプターで帰京する準備を整えたりしていると説明し、「選挙期間中も引き続き危機管理に万全を期したい」と発言している。
 しかしながら、政府の危機管理体制には懸念を抱かざるを得ないので、以下質問する。

一 本参院選挙期間中、安倍総理および官房長官が同時に総理官邸を不在にしていた日は、選挙期間中の十七日間のうち何日か。政府の把握するところを示されたい。

二 前記一に関連して、本参院選挙期間中に官房長官が総理官邸を不在にしていた日は、通常よりも多かったと考えているのか。政府の見解如何。

三 通常、総理大臣と官房長官が同時に総理官邸を不在にする日は少ないと承知している。特に官房長官は、危機管理に関するものを所掌しており、その不在は国民の生命、身体又は財産の保護、保全等に重大な影響を及ぼしかねないと解される。本参院選挙期間中、総理大臣と官房長官の同時の不在により、政府の危機管理の体制に支障が生じなかったと考えているのか。政府の見解如何。

四 官房副長官は、いざという時には、官房長官がヘリコプターで帰京する準備を整えたりしていると説明しているが、広島や新潟に選挙の応援に行っている場合、ヘリコプターで帰京することは現実的ではない。官房長官は国民の生命、身体又は財産の保護、保全等を勘案し、総理官邸を基本的に離れず、首都圏を離れた地域への選挙応援に行くべきではないと考えるが、政府の見解如何。

五 政府は、官房長官が政府の危機管理の責任者として総理官邸に常駐するよりも、いわゆる「令和おじさん」として、本参院選挙の与党候補の応援のために地方遊説することのほうが重要だと考えているのではないか。政府の見解如何。

  右質問する。