質問主意書

第199回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

ホルムズ海峡での船舶警護を目的とする有志連合に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年八月一日

熊谷 裕人   


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ホルムズ海峡での船舶警護を目的とする有志連合に関する質問主意書

 令和元年六月十三日、中東のホルムズ海峡付近で二隻のタンカー(うち一隻は日本の海運会社が運航)が襲撃される事件が発生した。この事件は、安倍総理がイランを訪問中の、イランの最高指導者ハメネイ師との会談中に発生している。側面から煙を上げるタンカーの様子が世界各国のメディアで速報されるとともに、イラン国内でも大きく報じられた。
 六月二十日、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡でアメリカ軍の無人機を撃墜した。イランは撃墜した無人機が「RQ―4A グローバルホーク」であることを明らかにしている。グローバルホークは大規模な空中監視プラットフォームとして機能し、機体の価格は約二億二千万ドル(約二百四十億円)と推定される。この撃墜された無人機の価値と探査能力を考えると、この攻撃によってアメリカとイランの間の緊張がさらに深刻化されるものと考えられる。
 七月二十二日、来日中のボルトン米国大統領補佐官(国家安全保障担当)は、河野外務大臣と会談し、安全保障面での協力・連携について協議したと報じられた。詳細は発表されていないが、日米間では中東のホルムズ海峡周辺での船舶警護を目的とする有志連合(以下「有志連合」という。)構想への日本の対応が焦点となったと承知している。この船舶警護は先に述べたタンカー襲撃やアメリカの無人機撃墜を受けたもので、ボルトン補佐官は岩屋防衛大臣、谷内国家安全保障局長とも会談している。
 外務省によると、河野大臣との会談では、ボルトン補佐官から地域や国際社会のさまざまな課題について日米で緊密に連携したいとの発言があり、北朝鮮問題の解決に向けた連携を確認したとしているが、そのほかの議論の内容については明らかにされていない。
 七月二十五日、アメリカのポンペオ国務長官はFOXニュースのインタビューで、船舶の航行の安全確保を目的とした有志連合への参加を日本に要請したことを明らかにした。ポンペオ国務長官は「この海域で利益を得ているあらゆる国は、自国の利益だけでなく自由でオープンな航行を守るために参加する必要がある」と発言し、日本、韓国、オーストラリアのほか、英国、フランス、ドイツ、ノルウェーといった同盟国を名指しし、有志連合への参加を強く促した。
 七月二十二日、自民党の安倍総裁は自民党本部で記者会見し、有志連合への自衛隊参加について、「当然、今、米国とは緊密に連携をとっている」とした上で、米国がどのような対応をしていくか「詳細を詰めていかないといけない」ことから、「詳細に申し上げることはできない」と明言を避けた。また、安倍総裁は、日本はイラン側と「対話できるパイプを持っている」とした上で、アメリカをはじめ国際社会に「関係の重要性を認識していただいている」、「緊張緩和に向けて、日本は日本でできる努力をしていきたい」とも発言していた。
 これらの発言を踏まえ、政府の見解を確認したいので、以下質問する。

一 ボルトン補佐官は一連の会談後、記者団に対し、日本との同盟強化に関して「非常に生産的な協議を行った」と発言しているが、政府はボルトン補佐官から有志連合への参加もしくは関与の要請を受けたのか。

二 ポンペオ国務長官は、日本を名指しして、有志連合への参加を強く促したが、政府は有志連合への参加もしくは関与について要請を受けたという理解でよいか。また、それはボルトン補佐官の訪日時になされたという理解でよいか。

三 政府は、現時点では、有志連合が組織された場合、参加もしくは関与すべきではないと考えているのか。政府の見解如何。

四 安倍総裁は「緊張緩和に向けて、日本は日本でできる努力をしていきたい」と発言しているが、同様の認識を安倍総理としても持っているのか。すなわち、有志連合への参加もしくは関与を政府は検討せず、「日本は日本でできる努力をしていきたい」との方針を貫き、外交的手法で問題解決を図りたいとの認識でよいか。

五 ボルトン補佐官のいうところの、日本との同盟強化に関する「非常に生産的な協議」とは具体的に何を指すのか。日米安全保障条約に基づく日米の安全保障に関わる同盟関係は日本の安全保障の根幹をなすものであり、日本国民は無関心でいられず、政府には説明責任がある。「非常に生産的な協議」の意味するところについて概括的に述べられたい。

  右質問する。