質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第六八号

内閣参質一九八第六八号
  令和元年六月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員仁比聡平君提出山口県岩国市にある愛宕山運動施設等の警察権及び管理権の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員仁比聡平君提出山口県岩国市にある愛宕山運動施設等の警察権及び管理権の考え方に関する質問に対する答弁書

一について

 前段のお尋ねについては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条4(a)により日本側と米側とが共同使用する施設及び区域(以下「共同使用施設等」という。)が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)第十条第一項にいう「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設又は区域」に該当する場合、同項の規定により、当該共同使用施設等内における逮捕、勾引状又は勾留状の執行その他人身を拘束する処分は、合衆国軍隊の権限ある者の同意を得て行い、又はその合衆国軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとされており、また、同条第二項の規定により、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る現行犯人を追跡して当該共同使用施設等内において逮捕する場合には、当該同意を得ることを要しないこととされている。他方で、当該共同使用施設等が、同条第一項にいう「合衆国軍隊がその権限に基いて警備している合衆国軍隊の使用する施設又は区域」に該当しない場合、同条の規定は適用されない。
 中段及び後段のお尋ねについては、日米地位協定第十七条10(a)において「合衆国軍隊の正規に編成された部隊又は編成隊は、第二条の規定に基づき使用する施設及び区域において警察権を行なう権利を有する」こととされており、このことは、御指摘の「愛宕山運動施設や岩国錦帯橋空港」においても同様である。

二について

 一般に、米側は、共同使用施設等においても、日米地位協定第三条1により「施設及び区域」の「設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」こととされ、同条に定めるいわゆる管理権を行使し得るが、当該共同使用施設等に係る日米間の個別の取決めに従って日本側が必要な措置を執る場合には、米側によるいわゆる管理権の行使は、その限度で事実上排除されるものと解している。このことは、御指摘の「愛宕山運動施設や岩国錦帯橋空港」においても同様であり、両施設の維持管理の在り方については、日米間で個別に取決めを行っている。

三について

 御指摘の「軍事的緊急時など」及び「提供」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたいが、一般に、共同使用施設等の日本側と米側との共同使用については、日米間の個別の取決めに従って、当該取決めの有効期間の満了を待たずに終了することがあり得るところである。なお、当該取決めの具体的な内容については、米側との信頼関係にも関わるものであるため、日米地位協定第二十五条1の規定に基づき設置される合同委員会の協議等に基づき、日本側及び米側の合意なしには公表しないこととされていることから、お答えすることは差し控えたい。