質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第六七号

内閣参質一九八第六七号
  令和元年六月十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護受給世帯の子どもが大学等へ進学することについては、令和元年五月二十一日の参議院文教科学委員会において厚生労働省の政府参考人が答弁しているように、同省においては、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三条に規定する「この法律により保障される最低限度の生活」には生活保護を受けながら大学等へ進学することは含まれていないと考えている一方で、同法第四条第一項では、同法による保護(以下「保護」という。)は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われることが定められていることから、生活保護世帯に属する高等学校等の卒業者であって稼働能力を有するものについては、就労することが求められることとなるが、一定の場合には、このような者であって大学等へ進学したものを当該世帯から分離して当該世帯とは別の世帯を構成しているとみなすことにより、引き続き当該世帯との同居を続けながら大学等へ進学できるようにしているところである。
 また、このような趣旨の過去の国会答弁としては、例えば、平成三十年四月十三日の衆議院厚生労働委員会において、加藤厚生労働大臣(当時)が「そもそも生活保護は、資産や能力その他あらゆるものを活用することを要件としておりまして、この原則によって、生活保護世帯の高等学校卒業者については、高等学校への就学によって得られた技能や知識を活用して、就労できる方は就労していただく。しかしながら、大学等への就学が御本人や世帯の自立助長に効果的である、そういった側面もあります。したがって、世帯分離を行って、大学等へ進学した分の保護費を支給しないことにより、同居を続けながらも就労が求められずに大学等に就学することができるように・・・世帯分離という態様がございます。生活保護費を受給しながら大学等に就学することについては、一般世帯でも高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方等が一定程度あり、アルバイトなどでみずから学費や生活費を賄いながら大学等に通う方とのバランスを考慮する必要があるということ、また、社会保障審議会の部会での報告書では、大学等進学後の教育費、生活費は生活保護に限らず、したがって、生活保護受給者だけではなくて、国全体として支えていくべき課題だ、そういった学生さんをどう支えていくのか、こういった意見もあったということでありまして、慎重に検討していくべきだというふうに思っております」と答弁しているところである。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、生活保護受給世帯の子どもが大学等に就学しながら保護を受けることができるものとするかどうかについては、全世帯における大学等への進学率のみで判断するものではなく、様々な要素を総合的に考慮する必要があると考えている。

四について

 お尋ねについては、一及び二についての後段でお示ししたもののほか、例えば、平成三十年五月十八日の参議院本会議において、加藤厚生労働大臣(当時)が「生活保護を受給しながら大学等に就学することについては、高校卒業後就職する方や生活保護を受給されていない方とのバランスを考慮して、慎重に検討すべき課題と認識しております」と答弁しているところである。