質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第四〇号

内閣参質一九八第四〇号
  平成三十一年四月二十三日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問に対する答弁書

一について

 平成三十一年度予算は、全世代型の社会保障制度への転換に向け、本年十月に予定されている消費税率十パーセントへの引上げに伴う増収分を活用して幼児教育の無償化をはじめとする社会保障の充実を図るとともに、税率引上げに伴う経済的影響を平準化するため、御指摘の「臨時・特別の措置」を講ずること等により、予算規模は約百一・五兆円となっている。
 同年度予算については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)に盛り込まれた「新経済・財政再生計画」(以下「新経済・財政再生計画」という。)に沿って歳出改革の取組を継続すること等により、新規国債発行額を前年度当初予算と比べて約一兆円減額しているなど、財政健全化の必要性を指摘する「平成三十一年度予算の編成等に関する建議」(平成三十年十一月二十日財政制度等審議会建議。以下「建議」という。)の趣旨に沿ったものであると考えている。
 また、「臨時・特別の措置」については、建議における「引上げに当たっては、引上げ前後の消費を平準化する等、経済への影響を緩和するために万全を期す必要がある」との指摘も踏まえたものであると考えている。

二について

 一般論としては、国際会議におけるコミュニケや演説には法的拘束力がなく、盛り込まれた事項はそうした意味において国際公約ではないが、二千二十年度及び二千二十五年度の基礎的財政収支の黒字化目標については、これまでも累次の国際会議の場で説明され、その会議におけるコミュニケや財務大臣による演説にも盛り込まれてきており、政府としては、新経済・財政再生計画に沿って、経済再生と財政健全化に着実に取り組み、二千二十五年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指してまいりたい。

三について

 補正予算については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十九条により、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」及び「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」に限り作成し、これを国会に提出することができるとされている。
 御指摘の「補正回し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、こうした同法の規定に基づき、各年度の補正予算について、予算作成後に生じた事由等に基づき適切に編成しているものと考えている。

四について

 消費税率の十パーセントへの引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものであり、リーマンショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、本年十月に実施する予定である。その後について検討を行っていることはない。

五について

 政府としては、引き続き、新経済・財政再生計画に沿って、経済再生と財政健全化に着実に取り組み、二千二十五年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいりたい。