質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一九八第一号
  平成三十一年二月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員有田芳生君提出拉致問題対策本部の活動状況と役割に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出拉致問題対策本部の活動状況と役割に関する質問に対する答弁書

一について

 拉致問題対策本部は、「拉致問題対策本部の設置について」(平成二十五年一月二十五日閣議決定)に基づき、拉致問題に関する対応を協議し、同問題の解決のための戦略的取組及び総合的対策を推進するため、設置されたものである。

二について

 お尋ねについては、拉致問題対策本部として、「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」(平成二十五年一月二十五日拉致問題対策本部決定)に基づき、①早期の解決に向けた北朝鮮側の行動を引き出すため、更なる対応措置について検討するとともに、現行法制度の下での厳格な法執行を推進する、②日朝政府間協議を始め、あらゆる機会を捉え、北朝鮮側による拉致問題の解決に向けた具体的な行動への継続した強い要求を行う、③拉致被害者及び北朝鮮情勢に係る情報収集・分析・管理を強化する、④拉致の可能性を排除できない事案に係る捜査・調査を徹底するとともに、拉致実行犯に係る国際捜査を含む捜査等を継続する、⑤拉致問題を決して風化させないとの決意を新たにし、教育現場を含む国内地域各層及び各種国際場裡における様々な場を活用して、内外世論の啓発を一層強化する、⑥米国、韓国を始めとする関係各国との緊密な連携及び国連を始めとする多国間の協議を通じて、国際的な協調を更に強化する、⑦拉致被害者家族等へのきめ細やかな対応、既帰国拉致被害者に対する支援の継続及び今後の拉致被害者帰国に向けた準備に遺漏なきを期する及び⑧その他拉致問題の解決に資するあらゆる方策を検討するとの具体的施策について全力を尽くしている。

三、四及び六について

 政府としては、これまでも、関係府省・関係機関が緊密に連携を図りながら、拉致問題の解決に向け全力を尽くしており、御指摘の「本部会合」についても、例えば、平成十八年九月に設置した拉致問題対策本部においては同年十月十六日及び平成二十年十月十五日に、平成二十五年一月に設置した拉致問題対策本部においては同月二十五日、平成二十六年八月五日及び同年十一月二十八日に開催するなど、必要に応じて開催してきたところである。いずれにせよ、政府としては、拉致問題の全面解決に向けて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くし、また、拉致に関する真相究明及び拉致実行犯の引渡しを引き続き追求していく考えであり、御指摘の「本部会合」についても、今後とも必要に応じて開催してまいりたい。

五について

 御指摘の「同方針の役割」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「拉致問題における今後の対応方針」(平成十八年十月十六日拉致問題対策本部決定)は、平成二十年十月十五日に当時の拉致問題対策本部において再確認された後、平成二十一年十月に設置した拉致問題対策本部において「拉致問題の解決に向けて」(平成二十二年十一月二十九日拉致問題対策本部第四回会合本部長指示)が発出され、平成二十五年一月に設置した拉致問題対策本部において「拉致問題の解決に向けた方針と具体的施策」が決定されたところであるが、いずれにせよ、政府としては、拉致問題の全面解決に向けて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くし、また、拉致に関する真相究明及び拉致実行犯の引渡しを追求し続けてきており、その方針に変わりはない。

七について

 お尋ねの「平成十八年に初代の本部が設置されてからの予算額とその執行状況」及び「本部内のそれぞれの部署ごと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「内閣所管(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費」のうち内閣官房拉致問題対策本部事務局に係るもの及び「内閣府所管(組織)内閣本府(項)内閣本府共通費」のうち内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室に係るものについて、年度ごとに、①予算額及び②執行額をお示しすると、次のとおりである。
 「内閣所管(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費」のうち内閣官房拉致問題対策本部事務局に係るもの
 平成十八年度 ①約二億六千九百万円 ②約二億三千二百万円
 平成十九年度 ①約四億七千三百万円 ②約三億八千百万円
 平成二十年度 ①約五億三千四百万円 ②約四億三千七百万円
 平成二十一年度 ①約六億二千六百万円 ②約三億二千五百万円
 平成二十二年度 ①約十二億四百万円 ②約三億五千五百万円
 平成二十三年度 ①約十二億四百万円 ②約三億四千八百万円
 平成二十四年度 ①約十二億四百万円 ②約四億六千九百万円
 平成二十五年度 ①約十二億七百万円 ②約八億五千八百万円
 平成二十六年度 ①約十三億三千万円 ②約十億七千八百万円
 平成二十七年度 ①約十二億九千八百万円 ②約十億六百万円
 平成二十八年度 ①約十三億円 ②約十一億二千六百万円
 平成二十九年度 ①約十二億九千六百万円 ②約十一億七千百万円
 「内閣府所管(組織)内閣本府(項)内閣本府共通費」のうち内閣府大臣官房拉致被害者等支援担当室に係るもの
 平成十八年度 ①約四千六百万円 ②約二千万円
 平成十九年度 ①約五千万円 ②約千七百万円
 平成二十年度 ①約五千万円 ②約千六百万円
 平成二十一年度 ①約五千万円 ②約千三百万円
 平成二十二年度 ①約三千六百万円 ②約九百万円
 平成二十三年度 ①約三千六百万円 ②約九百万円
 平成二十四年度 ①約三千四百万円 ②約九百万円
 平成二十五年度 ①約三千三百万円 ②約八百万円
 平成二十六年度 ①約三千五百万円 ②約九百万円
 平成二十七年度 ①約三億二千七百万円 ②約五百万円
 平成二十八年度 ①約三億三千七百万円 ②約八百万円
 平成二十九年度 ①約三億四千九百万円 ②約八百万円

八について

 御指摘の「日朝両国間の外交関係全般に係る事項」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、日朝国交正常化を実現していくというものであり、その実現に向けて、外務省等の関係府省・関係機関が緊密に連携を図っているところである。

九及び十について

 北朝鮮に対しては、在中華人民共和国日本国大使館等を通じて、拉致問題の解決を強く申し入れてきているが、これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、政府としては、関係府省・関係機関が緊密に連携を図りながら、拉致問題の解決に向け全力を尽くしているところである。